◎今年のベストバウト
今年の格闘技界のベストバウトは、9.18横浜のアジャ・コング対志田光戦だろう。
40台の半ばを過ぎたアジャがまだ現役だというのも驚きだが、動きが昔と変わらないことにも驚かされる。
灯油缶攻撃も昔のままで、全女の世界が戻って来たようだった。
志田光はいわゆる「トンパチ」で「わけのわからない」レスラーだ。
キャラ作りでは、さんざ迷走の挙句、リングに神棚を持ち込んで、「試合前に拝む」という支離滅裂な行為をしていたこともある。
もちろん、米国進出を念頭に置き、オリエンタルな装いを出そうとしたものだろうが、やっぱり「みょうちきりん」だった。
モデルをやっていたり、写真集を出していたりと、こっちは食っていくためだろうから、ある程度仕方ない。
今はwweチャンプのアスカだって似たようなものだった。
でも、基本はもちろん、レスラーだ。
本人だって、「私はレスラー」と答えそう。
試合は真っ向勝負で、志田光が膝蹴り(ランニングニー)を打ちに打ちまくって、アジャを倒した。
格闘家としての志田光は、一枚、皮が剥けつつある。
相手の攻撃を受けて、ヘナヘナと崩れる場面が消え、正攻法のストロングスタイルで勝負出来るようになった。
ニーアタックには説得力があり、あのアジャがスリーカウントを聞いたのも頷ける。
女子プロレスを再興していくには、説得力のある技を持つ人材が重要で、志田光はこの後、この世界を牽引していく一人になると思う。
これから1、2年で化け、wweで活躍するスーパースタアになっているかもしれないし、やはりトンパチのままかもしれん。膝にどれだけの執念を込められるかが勝負だろう。