日刊早坂ノボル新聞

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◎本当に「不正」なのか  その2

◎本当に「不正」なのか  その2

 「毎勤」を再集計したところで、数値自体が驚くほど変わるわけではない。
 手法が少し変わっているのだから、それ以前に遡及できるかどうかを確認して、ずれがあれば「ずれがある」と言えば良い話だ。
 統計は一定の視角で眺めた時に、「どう見えるか」、また「どう変化したか」を確認するための手続きだ。それ以上でも、それ以下でもない。

 批判する側が言うように「物価調整すれば大幅にマイナスに転じる」みたいなドラスティックな展開は無い。逆に言えば、そういう結果が「見えない」から、総理も「すぐに再計算をやらせます」と言わない。
 どうなるかわからないことには、ひとはしばし「模様眺め」をするものだ。

 他方、総理の言うように「(自分は)関係が無い」というのも事実だ。
 統計は「何をどう動かせばどうなるか」がさっと見えるようになるのは、十年二十年と実査を経験していないと分からない。
 「こうしろ」と命じて作れるものでも無い。
 お粗末な粉飾を加えれば、すぐにそれと分かる。
 ま、そういうアリエネー話も、過去1、2年で数多く見させられてきたのだが。
 財務省からは、誰も刑務所に行っていないが、公文書の書き換えは国家反逆罪級の大罪だ。
 今さら、統計の不手際など、それこそ「小さい話」だろう。
 与党にとっては、「事実」などどうでもよく、「俺がどうしたいか」が問題なわけだ。

 「毎勤」は企業が出した賃金を調べるものだが、消費者物価をパラメータにして補正しても、バブル崩壊後の十年間よりも「改善されている」と出ると思う。
 問題はその先で、収入だけでなく支出も、すなわち家計を視野に入れると、「富裕層と貧困層の間の格差が著しく広がっている」ように「見える」可能性がある。
 これも指定統計の「家計調査」で調べているから、分析自体はすぐに出来る。
 複数の調査結果を重ねると、単独ではわからないことが次々に見えて来る。

 この場合、課税が必要なのは、国民全般ではなく富裕層だ。
 そうなると、消費税方式ではなく、金融資産税のほうが妥当というシナリオが出来る。
 消費税率の改定が間近に迫っているが、その前にこういう情報が出ると、本当に不味い結果になる。
 安倍政権は「富裕層のための政策」を続けており、アベノミクスの本質はそれだ。
 「経済全般が向上しているのではなく、一部の者だけが恩恵を得ている」という図式が明らかになれば、次の選挙で自民党は負ける。
 
 今はおそらく目の前の対応ではなく、そこまで計算した上でのダンマリだろう。
 官僚は優秀なので、数値自体はとっくの昔に試算出来ていると思う。

 野党を含め、批判する側も感情的になりすぎる嫌いがあり、安倍政権の嘘を言い立て過ぎる。
 安倍総理は「40年来の友から、自分が認可権者である仕組みにその友だちが申し込んだのを聞いたのは、決定の後」と、平然と言った。
 これは証明の必要の無い虚偽だ。
 嘘つきに「お前は嘘つきだ」と言ったところで、蛙の面に何とやらだろう。
 正攻法で、正面から「存在すべきではない」と否定すればいいと思う。

 安倍総理は、有名人とは並んで写真を撮るし、誰かが金メダルを取るとすぐに電話を掛ける。
 でも、生活困難者や福祉の対象者に目を向けることは一切無い。

 やはり、今の与党でも、野党でもない、新しい保守勢力が必要だと思う。
 現状では、政治が国民生活の改善に寄与しているとは言えない。
 どこも「一長一短」ではなく、「短」しかない。