日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

ドナドナ

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8月は肉牛の視察で東北各地を回ってきましたが、途中で親戚の農家を訪れました。
この家でも、黒毛の繁殖用の雌を20頭くらい飼っています。

牛舎の前まで行くと、JAの人たちが何やら打ち合わせをしていました。
そこで話が終わるまでしばし傍らで待ち、理由を聞いてみたのです。

それはこんな事情でした。
つい数日前に、1頭が子どもを産んだけれども、出産の時に後ろ足が両方とも脱臼してしまい、立てなくなってしまった。
そのため、廃用とし、と畜場に連れて行くための打ち合わせをしていたのです。
牛の年齢は15歳で、人間ならかなりの高齢出産になりますので、異常が生じたのも無理はありません。
ちなみに牛の寿命は17、18年だと聞きます。
「病気になったわけではないから、餌もパクパク食べているんだけどね」
しかし動物は、立てなくなった時が寿命です。
翌日には牛舎の前までロープで引きずり出され、クレーンでトラックに載せられて、と畜場へ運ばれ、その日のうちにと殺されてしまうでしょう。

この時は、実家の近くですので、事業パートナーのほかに子どもたち2人を連れて行きました。
牛はまだ何も知らず、寝そべったまま、のんきに餌を食べています。
「何だかかわいそうだよね」
普段食べている牛肉がどこからどうやって来ているのかを目の当たりにして、子どもたちは多少ショックを受けているようでした。

翌日、パートナー、子どもと同乗し、車で東京へ帰ってきました。
子どもたちは、移動中、「頭の中で、ずっとドナドナの歌が流れていたよ」と言っていました。

子どもたちは夏休みの間、都会の生活から離れていましたが、こういった経験で1枚奥行きが深くなってくれればよいと感じます。
都会ではスーパーに並んだ牛肉のパックしか見ずに済ませられますが、それは現実のわずかな一端にすぎません。