日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第76夜 トンネルの向こう側

トンネルの中をトボトボ歩いています。
周囲は真っ暗ですが、前方のはるか遠くに小さな光が見えます。

(これって昔心臓が止まったときの体験だなあ。)
確か、この先には川が流れていて、その向こうはお花畑が見えるはずです。
前回はトンネルの途中までで、そこから逆戻りしたのでした。

今回は案外と楽に進むことが出来、光のすぐ近くまで近づきました。
トンネルの端はドアで、少し開いた隙間からわずかに光が漏れていたのです。
(この先は「あの世」ってヤツなんだよな。)
少し躊躇します。
その時、光がゆらめき、中で何か動いている気配がしました。
思わずノブを握り、扉を開きました。

うへえ。
ドアの向こう側はあたり一面が燃え盛る紅蓮の炎で、赤やオレンジ色の光で満ち溢れていました。
炎の先は見渡す限り暗黒の闇のようですが、やはり所々で火が噴出していました。
(これって、地獄じゃん。)
慌てて数歩下がり、もう1度外へ出て、そっとドアを閉めました。
(どうせ地獄に行くとしても、今急いで入ることはないよな。)
トンネルの中を元来た方向に歩き始めます。

ハッと気がついてみると、長椅子に座っていました。
テーブルを囲み、7、8人で議論をしています。
(あ、師匠だ。亡くなってからもう15年近く経つなあ。)
先生の周囲には今は懐かしい先輩方が座っていました。

一瞬、気を失っていたのでしょうか。
「ちょっと失礼。トイレに行ってきます」
立ち上がり、部屋を出ようとしました。
10歩ほど進み、ドアのノブに手を掛けます。
扉を開くと、その先は漆黒の闇。しかし、すぐに炎が噴出してきました。
「うわあ!」
慌ててドアを閉め、テーブルの方に振り返りました。

皆が私を見ています。
「どうしたの?」
「いやあ、ちょっと」
(疲れてんのかな。あるいはいよいよ心の病気が始まっているのかも。)

「そんなことはないよ」
先輩の1人が答えました。
(この人、私が頭の中で考えていることがわかるのかな。)

「だって君はもう扉を開けたでしょ。まだ開けなきゃ良かったのにね」

その先輩も10年近く前に亡くなった人だってことに、その時気づきました。
ここで覚醒。