日刊早坂ノボル新聞

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「後期高齢者」って何?

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最近、高齢者健康保険制度の切り替えに関連し「後期高齢者」という用語が話題になっていますが、この「後期高齢者」とは何でしょうか。あるいはなぜ高齢者を前期・後期に分けるのでしょうか。

答えは、75歳以上の高齢者が「多く死ぬから」。
図は、ある1年の日本人の死亡数を基に各歳別の死亡率を算出し、日本人の死亡危険確率がこれと同じだと仮定したときの生残率を5歳間隔でプロットしたものです。
要するに、生まれたときの日本人人口を1とすると、翌年にはそのうちの何人かが死亡しているので、これにその年齢の死亡率を乗じ、次はその値に上の年齢階級の死亡率を乗じ・・・、で算出したもので、各時点でどれくらい生き残っているかを示したものということです。

わかり易くするために60歳時以降を表にし、かつ%表示にしてみました。
ここでは、「生残率」は生まれた人のうち、どれくらいの割合(%)が生き残っているかを表し、「対前増減率」(実際には減少率)は5年前の時点から、どれくらい減っているかをしめしたものです。
75歳付近から生残率が急激に下降し、減少率が高まっていることがわかりますね。
ちなみに表中の「90歳以上」というのは、「90歳以降、同時出生の日本人が死に絶えるまで」という意味です。

大雑把な見方だと次のようになります(あくまでイメージです)。
60歳の時には同級生の男性10人のうち9人が生き残っています。
70歳の時には8人弱ですが、その後の5年間で亡くなる人が急に出現し、80歳では同級生の半数となります。
割合で表現すると少ないようですが、例えば同じクラス30人(男子のみの組)で見た値だと、60歳時に3人/30人、70歳時には7人/30人という減り方になります。これに誰それ君という顔と名前がつくと、実感としてはかなり重い印象になります。

研究者や役人は、表現内容の厳密さを期するため、相手が「人」だってことを忘れることがありますが、これもそんな例です。
この場合、「後期高齢者」という表現をすると、「いずれまもなく死ぬ人」という意味になりかねないことには頭が回っていません。

ちなみに、この生残率カーブは平均余命を推計する時に中間段階で作成するものですが、いわゆる「平均寿命」よりも、こちらの方が使い勝手がよいと思います。
「同じ年に生まれた人が、何歳の時にどれくらい生き残っていて、これからどのように減じていくか」という疑問に対する答え方のひとつになりそうです。
各年齢層で主要な死因は明確ですので、年齢によって気をつけるべき生活習慣が把握しやすくなります。
もちろん、「もし、ある1年の死亡率と同じ死に方をしたとき」の話で、「平均寿命」と同様にあくまで仮定(もしくは空想?)上の値です。