日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

物事は、やってみなければわからない

25年くらい前、ある社長さんに出会いました。
その方は、いわゆる苦労人で、ゼロからの叩き上げで成功を勝ち取った人です。

父親の急死により、事業を引き継いだが、経営はうまくいかず、会社は倒産してしまいました。
自分の手に残ったものは、誰も引き取らない古ぼけたトラックが1台です。
借金取りも「何の足しにもならない」と、持っていきませんでした。
これが、その人が50歳を過ぎた頃のことです。

その人は、「どんな境遇にあろうと必ずもう一度チャンスは来る。もう一度やり直そう」と考え、人の嫌がる仕事をやることにしました。要するに、トラックで廃棄物を運ぶ仕事でした。
景気が上昇機運にある頃の話で、世の中が「楽に儲けられる仕事」を志向しています。その人の発想は社会の風潮とは逆のスタンスになってます。もちろん、「そうせざるを得なかった」という状況もあるでしょう。

それから、その人の仕事は乗数的に成長し、8年後には年商で300億に近いビジネスをするようになっていました。
私がその人に会ったのはちょうどその頃です。

その人の口癖は、「何事も、やってみなければわからない」。
「100辰11秒で走る」といった性質のことはべつとして、多く「できない」ことを決めるのは、その人本人の気持ちの持ちよう。
「できない(かも)」「難しい(かも)」と、少しでも思う人間は、実際に成功しないし、成功する資格は無い。
これが、その人の持論でした。

その当時、私は若者で、その人の言うことの何分の一も理解できていませんでした。
言葉としてその人が言っている意味はわかっても、自分の振る舞いに反映させられなかったのですね。
年を取り、主に体力的な限界が多々生まれてくるわけですが、今になって、初めてその言葉の本当の意味がわかるようになってきました。

先に成功した人や、あるいは逆に失敗した人たちと見比べて、「その道で成功するの難しい」と考えるのは、努力を放棄するための言い訳に過ぎない。他者と比べる必要などなく、「自分は自分なりのスタイルでやり遂げれば良いこと」です。
「実際にやってみて、かつやり遂げようとする姿勢」が、もっとも大切なのだと、改めて思い知る今日この頃です。