日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

記録よりも記憶 (2013宝塚記念)

冒頭は野球の話から。
MLBイチロー選手と、今は解説者の田口壮氏は、プロ入りしたのが確か同じ年です。
田口さんは社会人野球からなので、イチロー選手より年齢が上になってます。
ドラフトでは田口氏が1位指名で、イチロー選手が6位指名くらいだったように記憶しています。
一般のイメージとは違い、田口氏がエリートで、イチロー選手はいわゆる「叩き上げ」になります。

プレースタイルの違いを例えて言うなら、イチロー選手は1塁にいる味方を進塁させるために、バントをして、あわよくば自分も生きようとする。かたや田口氏は、大きく空振りをして、1塁の選手が盗塁しやすくする、という印象です。

MLBでの成績は周知の通りで、イチロー選手は比類なき打撃成績を残しており、今も現役です。
打率・ヒット数などの記録では、田口氏は遥かに見劣りがします。
ところが、田口氏はイチロー選手がいまだ果たしていないものを2回達成しています。
もちろん、ワールドチャンピオンのことで、田口氏は2度も優勝メンバーに名を連ねているのです。

ファンの人気もすごかったですね。
圧巻はカージナルス時代の時で、田口氏は優勝パレードの主役でした。
監督が「田口人気」を当て込んで、同じ車に乗り込んだほどでした。
普段の打率はそれほどではないのに、ここぞという時にヒットを打って見せるし、守備も堅い。
それと、やはり献身的な姿勢がファンの心に響いたのだろうと感じます。

今の解説ぶりには、田口氏の人柄の良さがにじみ出ています。
いずれ指導者になるのでしょうが、監督になった暁には、田口VSイチロー対決を見てみたいような気がします。
(でも、イチロー選手は監督には向いていなそうな感じ。)

イチロー選手は、記録も記憶も併せ持っていますが、田口氏はどちらかと言えば記憶のほうに重きがあります。
野球以外のどのようなジャンルでも、イチロー選手のようなポジションを占めるのはほぼ不可能に近いことですが、田口氏は一般人の目標とすべき道筋の延長戦上にいるような気がします。
そうなると、心情的に田口氏のことを応援したくなってしまいます。
やはり、自分の境遇なりに「どういうスタンスで立ち向かったか」が最も心に響く要素です。

さて、日曜は宝塚記念です。
少頭数のメンバー構成で、おそらく馬場は重残り(願望だけかも)。
逃げ馬は一頭のみとなると、穴党としては「眼をつぶってシルポート」が当然の選択です。
当たるか外れるかはどうでもよいこと。
逃走劇が万が一成功したなら、「さぞ気持ち良かろう」という単純な理由で、単勝複勝を中心に買うことになるでしょう。

しかし、シルポートにとっては、距離不適で、トシもトシ。
さすがに「少々」以上の難があります。
こりゃ、さらに狙い目かと思いきや、前々日オッズを見ると、単勝で5、6番人気になってます。
まあ、当日は下がるでしょうが、それでも思惑よりは上になりそう。
昨年(もはや一昨年?)の目黒記念のネコパンチみたいな「あれよあれよ」を見てみたい人が少なくないと見えます。
(穴党としては、嬉しいような、残念なような複雑な気持ちです。)、

このシルポートは、紛れも無く、筋金入りの「記憶」派です。
勝ち負けはともかくとして、かつてのツインターボみたいなハラハラドキドキのレースを期待します。
残り百メートルくらいまで、先頭でいてくれんでしょうか。
その辺で力尽き、ズルズル後退して行くとしても、逆にその姿が勝負師としては勲章のような気がします。
何せレースの8割以上に渡り、この馬が先頭を走る姿を眺めることになりますので。
それなら勝ったも同然だ。
行け、シルポート!。