◎苺のエード
小学生の時に、校長先生から「家に遊びにおいで」と誘われました。
その時に「少し君のコインを分けてくれないか」とも言われたのです。
私の家は商家でしたが、家には木箱に一杯の古銭がありました。
当時は同級生など「欲しい」と言う人に、無頓着にあげていたのですが、先生はその話を子どもたちから聞いたのだろうと思います。
古銭をあれこれ持って、2キロ離れた先生の自宅に行くと、そこは農家でした。先生は元々、その農家の出だったのです。
その時、先生はジュースを出してくれました。
ひと口飲むと、なんと苺のエードでした。
すなわち、苺を潰して果肉を絞り、エキスだけを取り出したものです。クラッシュアイスに入れた苺のエードは、まさに至福の味でした。
先生の家の畑では、苺を露地で栽培していたので、食べるのには飽きが来ている。だからそうしたのでしょうが、子ども心にも心底から「贅沢だ」と思いました。
あれと同じものを飲んでみようと思っていたのですが、さすがに苺が勿体ないです。何せ8割くらいを捨てることになってしまいますから。
しかし、あれからウン十年後、ついに作ってみることにしました。苺をジューサーではなくミキサーにかけ、それをコットンで絞りエキスにしてみたのです。
エードの色が透明になっていないのは、勿体なさ過ぎて、ぐいぐい絞ったからです。そこは貧乏性です。
焼酎をこいつで割ってみたのですが、まさに感動的な味でした。
難点は1杯千円くらいの材料費が掛かることだけです(イテテ)。
先生宅のエードの味には及びませんが、あれは「露地栽培の完熟苺だった」ということだろうと思います。
小さい屑苺なら安いので、たまにやってみようかと思います。どうせ果物は禁忌食品なので、小量しか飲めませんし。