ディーゼル列車に乗り、うたた寝をしている間に終着駅に着いていました。
終着駅と言っても、行き止まりではなく、路線の別れる分岐点で、線路は先にも続いています。
意識が少しずつ戻り始めました。
ああ、寝てたんだな。
私はオジサンめいた灰色のコートを着て席に座っており、袖口から皺だらけの手が覗いています。
外見上は60歳くらいでしょうか。
私が乗っていたのは車両の最後尾で、広報の線路がよく見えます。
立ち上がり、外の景色を眺めると、秋の終わりか冬の初め頃で、紅葉も大半が落ちてしまっているようです。
あれれ。遠くに貨物車が見えます。
時速20舛そこらの低速走行ですが、確実にこの列車に近づいてくるようです。
ぶつかったりはしないよね。
ところが、貨物車は停止する気配が無く、そのまま突っ込んできました。
私は慌てて、前のほうに移動しますが、次の車両に移る連結部のところで、ガッシャーン。
貨物車は私の車両に衝突しました。
しかし低速だったので脱線もせず、列車はそのまま押されて前進し始めます。
危険を示すサイレンがワンワン鳴っていますが、列車は駅を離れ、先に進みます。
駅を出ると下り坂となっており、次第に速度が増してきました。
これって、このまま走り続けたら、間違いなく脱線するよね。
すぐに車両は時速60舛ら80舛肪しました。
ありゃりゃ、これで脱線したら死ぬなあ。
遠くの方には緩い右カーブが見え始めました。
その先は見えませんが、結構きついカーブですので、あそこで脱線してしまいそうです。
ちょうど良く、左側は崖になっており、脱線したら谷底へ落ちてしまうでしょう。
さすがに、今回ばかりは観念せざるを得ません。
カーブに入りました。
列車が傾き、車両の右半分が少し浮いたような気がします。
ああオレって、こんな死に方だったのか。
しかし列車は落ちずにカーブを曲がりきり、体勢を立て直し始めました。
ここでカーブ手前では見えなかった前方の景色が視界に入ってきます。
カーブの向こう側は住宅地で、建物が並んでいます。
列車はスピードを落としながら住宅地に入っていきます。
この時、私は列車の最前部に達していましたが、ガラスの窓から見える真ん前には家が立っていました。
あの家に突っ込むことになりそうです。
列車は玄関から庭に入っていき、犬小屋の前まで到達したところで止まりました。
犬を引きそうになったのですが、どうやら大丈夫そう。
良かったなあ。
左側が家屋で、壁がすっかり壊れています。
中ではちょうどその家の家人が昼食をとっていたところで、食卓を囲んでいた4人がぎょっとした顔でこちらを見つめていました。
窓を開け「大丈夫でしたか」と声を掛けます。
後ろから貨物車に追突されたんですよ。
いやあ、死ぬかと思いました。
誰かに説明しています。
ここで覚醒。
これも何を暗示しているのか、サッパリわかりません。