日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第155夜 別荘にて

先ほど見た夢です。
 
私は25歳くらいです。
男の友人1人と女性3人と一緒に、高原の貸し別荘に行くことになりました。
車に同乗して、その別荘に向かいます。
案外、早く着いて、まず他の皆を玄関先で下ろし、自分は車を建物の陰に移動します。
 
別荘の前に戻ってきて、中に入ろうとすると、そこで足がすくんでしまいます。
こりゃいかん。ここはあまり良い場所じゃないぞ。
私は生来、第六感が働くほうで、そのおかげで大事故を免れたりしています。
でも、仲間は皆、建物の中に入ってしまってます。
玄関のドアを開き、中を覗きこむと、ずっと奥まで長い廊下が続いてます。
「おーい、皆。大丈夫か」
声を掛けても、返事がありません。
廊下の先は薄暗くて、深閑としていました。
廊下の両側には、幾つかドアがありました。平屋建てですが、6LDKくらいはありそうな大きな家です。
「おーい」
2度目にも、まったく返事がありません。
 
中に入っていかなきゃならんのかな。
ここは嫌だな。いろんなものが潜んでいそう。
躊躇していると、唐突に右のドアが開き、人が出てきました。
白髪のお婆さんです。
「うえ」
お婆さんは真っ直ぐ前を見据えたまま廊下を渡り、左側の部屋にすうっと入っていきました。
「ああ、びっくりした」
経験的にみて、ああいう風に、周囲にまったく目もくれず、自分のことだけに心を奪われている存在は、生きている人でないことが多いです。
幽霊は半透明ではなく、おどろおどろしい姿もしておらず、普通の状態で現れますが、おのれの念で凝り固まっていることで、生きている人とはまったく違います。
 
ここはダメだ。この世とあの世が繋がってらあ。
幽霊はどこにでもいるものですが、ほとんどが何の影響もありません。接点が無いところでは、存在していても、影響はないのです。よって、道で変な人影を見たり、運動会の記念写真にそこにはいない筈の人影が写っても、気にする必要は無いのです。
でもここは違う。
「おーい。皆出て来い!」
私の呼ぶ声に反応したのは仲間ではなく、幽霊の方でした。
廊下の奥には、磨りガラスの戸がありましたが、そこには何人もの人影が浮き出ています。
こりゃ、本当にダメだ。一刻も早くここを出ないと。
 
すぐに逃げ出したい気持ちを抑え、靴のまま中に入ります。
「ヤロー。あの業者め。帰ったらぶっ飛ばしてやる」
自分を奮い立たせながら、前に進みます。
まずお婆さんが出てきた右側のドアを開きました。中には、私と一緒に来た女の子の1人がポツンと立っています。
「○○ちゃん。早くここを出なきゃ」
後ろから肩を揺すりますが、女の子はまったく動きません。
その子の前に回ってみると、動けないのも当たり前で、子どもの幽霊が4人ほどその子に掴まっていました。
「離れやがれ。このガキども」
九字を切ると言うよりも、手刀で張り倒す感じで子どもたちを離しました。
「ここから出るぞ。目を醒ませ」
○○ちゃんの背中を押し、玄関の方に向かわせます。
 
あと3人連れ出さなきゃ。
そう考え、さらに奥に進もうとすると、建物の中、そこいらじゅうから、この世の物とも思えないような呻き声が沸き立ちました。
いやはや、本当に不味いぞ。
 
奥の磨りガラスの戸を引き開けると、中には私の友人が座っていました。
友人の目の前には、女の幽霊が向き合って座り、友人の顔を凝視しています。
「ちっ」
九字を切ったり、真言を唱える暇は無く、ただ友人の襟首を掴んで、後ろに下げるのが精一杯です。
「目を醒ませ」
友人の顔をバチンと叩きます。
はっと友人が気づいたので、「外へ出ろ」と伝えます。
あと2人。
 
女の子2人を探そうと、背後を振り向きました。
すると、私の眼の前には30人以上もの幽霊が立ちはだかっていました。
正面では、白い服を着た女が私のことを見据えています。
「お前。ここから出られると思っているのか」
くそー。やっかいなところに来ちゃったなあ。この中にはどれくらいの不浄仏が隠れているんだろ。
腹を括って戦うしかないか。
丹田に力を込め、両手で印を結びます。
 
ここで覚醒。