日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

強運の人

半年くらい前に、妻の胸に小さなしこりが出来ました。
「女性の胸にしこり」は重大な事態となる惧れがありますので、すぐに病院に行かせました。
検査結果は、「脂肪の塊で、気にならなければ無視してよい」とのこと。
実際のところ、7ミリから10ミリの大きさでした。
 
ところが今年の8月になり、このしこりが急に大きくなり始めました。
9月頭に会社の健診を受けたのですが、診察した医師は触診して、「すぐに専門医に診てもらいなさい」と勧めました。
数日後、ある総合病院に行くと、「これは早く切らなくてはならない。別の病院を紹介します」と、紹介状を渡されました。
この時、妻のしこりは15センチ大に到達していました。
 
昨日、手術を受け、この腫瘍を切除したのです。
根が深かったので、終了予定の時間を大幅に過ぎてしまいました。
医師の話は、「無事取れました」で、さらに「悪性ではない」とのことでした。
この1か月で、妻のしこりを見聞きした人は、そのすべてが「悪性腫瘍だろう」と思ったに違いないです。
(実はダンナも覚悟していました。)
 
ところが、妻はやはり強運の持ち主でした。
そう言えば、これまで手相や姓名判断、生まれた月日など、占い師の類に見てもらったことがありますが、皆口をそろえて「とてつもない強運の持ち主」だと言いました。
手相がその最たるもので、運命線が普通の人の3倍の太さで2倍近い長さ。
「3回生まれ変わっても、苦労することはない」という占い師もいました。
 
ダンナ(私ですが)は、占いの類はまったく信じないタイプです。
手相は「ただの皺」だし、生まれた時や星座は「人が勝手に記した標」だと思っています。
ところが、妻がとてつもない強運の持ち主であることは素直に認めます。
これは実際に次のような出来事があったからです。
 
ダンナが会社を経営していた時の話です。
中小企業なので、ダンナの方は連日深夜まで働くか、仕事場に泊りになります。
家に電話を入れた時に、小さなことで妻と口ゲンカになったのですが、これが夜中の2時ごろ。
妻は「今からそっちに行く」と言います。
「電車は走っていないし、家から30キロはあるからタクシーに乗るのはもったいないでしょ!」
ところが、妻は道に出て、東京方向に向かうごく普通の乗用車を停め、「用事があるから、東京まで乗せてください」と頼んだのです。
普通は乗せないですね。
さらに、自分がパチンコの景品買いに関わる仕事をしていて、車の後ろに3千万円くらいの現金を積んでいたら、深夜2時に手を挙げて車を止める女を乗せたりはしません。
強盗や幽霊だったら困ります。
ところが、その運転手は妻を乗せ、会社まで送ってくれました。
 
妻はいつもこんな調子で、ほんの少し困った表情をすると、誰かが必要以上に助けてくれます。
この世に「持って生まれた強運」というものが存在するのは、妻を見ればわかります。
「ワタシはこうしなくちゃ」と言うだけで、必ず誰かが手を挙げ、自ら進んで手伝ってくれるのです。
一方、ダンナのほうは、一方的に他人の世話をするだけで、常に持ち出しなばかりか、その相手に感謝すらされません。迷惑がられることもあります。もちろん、私は元々コンサルタントの類ですので、状況判断はこちらが正しくて、概ね予期した結果通りになります。
 
こう思えば、この妻にして、この奉仕的ダンナの組み合わせになるのも、ある意味自然の摂理なのかもしれません。