日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

家の中の小鬼

眼の病気のため、日がな家の中にいます。
何もしない生活は苦痛ですが、安静が一番とのこと。
おかげさまで、右眼は0.1から0.2くらいの視力には戻ってきました。(まだ先は長い。)
 
深夜、テレビのニュースを聴いていると、台所の方でガサガサという大きな音がしました。
猫がごみ袋の間を動いているような音です。
「何?」
近づいてみても、別に異常はありません。
 
また元の位置に戻って座っていると、今度はテレビ台の上に置いていたDVDが転げ落ちてきて、お茶のカップを倒しました。
中身が床にこぼれたので、すぐに掃除します。
後になり、ようやくそこで「平置きにしていたDVDが何で落ちるわけ?」と気づきます。
平らな台の上に、きちんと載せていたのに、落ちる理由がありません。
DVDが横に吹っ飛ぶ規模の地震なら、家ごとゆさゆさ揺れるはず。
 
朝になり、家人が起きてきたので、夜のことを話しました。
「おい。昨日また小鬼が出た」
当家では、時折、誰もいないはずの2階で「小さな動物が走る音」が聞こえたりするので、そういう時は「小鬼が出た」と言います。
鶏くらいの重量感(2キロくらい?)で、二足歩行をしています。
廊下をタタタタと音を立てて小走りで走るのです。しかし、鳥の足ではなく、裸足のような音感があります。
また、それかも。
妻の返事は、「ああ。それって私のせいかも」でした。
 
家人によると、前の晩に、毛布の丸まった中から、何やら自分を呼ぶ声が聞こえたのだそう。
驚いた家人は、咄嗟に、その毛布の上から足で2度3度と踏みつけた。
自分に嫌われたせいで、その小鬼が別の相手を探しに、階下に降りたのではないか。
これが家人の意見です。
 
「なるほどねえ」
当家では、家族全員が、そういう小鬼を「実在のもの」とみなしているるので、先方にとって出やすいかもしれません。信じないヤツの前に出ても面白くないですから。
 
この小鬼の出方は様々です。
次女は家の中で「小さい少年」を、日中まともに見たと言います。
(「まともに見た」とは、「夢うつつ」とか、「金縛り」の時ではなく、ごく普通に起きている時に目の前に現れたという意味です。)
家人は子どもの頃に、ベッドの回りを15センチくらいの異形の鬼たちが練り歩くのを見たことがあり、「きっとそういう類の妖怪だ」と言います。(小鬼を見聞きするのは、やはり家人が一番多いようです。)
私は棚の上の皿が宙に浮いて、床に落ちるのを「まともに見た」ことがありますので、ポルターガイストみたいな存在ではないかと考えています。
 
妄想や想像ではないのは、ごく普通に日中に起きるのと、複数の人間が見ている前でも起きること。
かの妖怪博士の井上円了先生は、合理的な説明のつかない不思議な現象を真怪と呼んだそうですが、それに近い感じです。
別に害はないので、がさがさと音がした時は、「静かにして!」と言い付けます。
自分の存在を認めてくれる人間がいると、小鬼の方もそこで満足するのか、すぐに静かになります。
年に数回ほどで、それほどの回数ではないので、気にはなりません。