日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第193夜 エアポートにて

つい先ほど、テレビの前で眠り込んでいた時に見た夢です。

眼を開くと、空港の待合室にいました。
椅子に座ったまま、眠り込んでいたのです。

正面の大きな窓ガラスが白く曇っています。
外は雨模様だし、冷房がカンカンに効いているせいでしょう。
ここは最終ゲートで、すぐ窓の外に、私が載るはずの旅客機がうっすらと見えます。
きっとあの旅客機に乗ろうとしてるんだな。
でも、私はいったいどこに行こうとしているのでしょう。

ここでアナウンスが入りました。
「ただ今を持ちましてアノーヨ航空〇〇便の搭乗を締め切ります」
おいおい。
それって、この13番ゲートのことじゃないの。
「おおい。待ってくれ。私もそれに乗るんです!」
搭乗口に走り寄ります。

受付には、係員が1人だけ残っていました。
サリーを身にまとった若い女性でした。
その女性に、右手の搭乗券を示します。
「オレも乗る。早く入り口を開けてくれ」
女性は私を一瞥すると、早口で何事かを言いました。
「◎△×□△●ー×÷」
いったい、何語なんだよ。

そういやあ、アノーヨ航空は、確かインドの近くのアノーヨ共和国の航空会社だっけな。
大統領の名も、アノーヨ大統領と言ったっけか。
(ここは、フィリピンの前の大統領であるアロヨ大統領のもじりか。)

「あんた。日本語できないの?」
女性は私のことをじっと見詰めます。
「できます」
「なら最初から日本語を使ってよ。それはともかく、私はあの飛行機に乗るために長いこと待っていたんだよ。だから何としても乗せてくれよ」
「もう今度のフライトは締め切りました」
「そんなこと言うなよ。私は長いこと、ここに座って待っていたんだから」
そう言えば、ずいぶん長い間、ここに座っていたような気がします。

また乗り遅れちまったか。
でも、ダメ元でもう一度言ってみます。
「もう絶対に乗せてはもらえないのかい?」
係員はもう一度私のことをじっと見ました。
「乗れないこともないのですが・・・」
「え?乗られるの?」
「でも、外の席だけです」

外の席。その「外の席」っていったい何のことでしょう。
「じゃあ、その外の席でもいいから案内してくれ」
「いいんですか。あれですよ」
係員が窓の外を示します。
窓が曇っておりよく見えないので、その窓の近くまで歩み寄りました。

「うひゃあ」
旅客機の上に人が見えます。
機体のすぐ脇には梯子が立てかけられていました。
旅客機の上にはもう20人近くが乗っていますが、さらに十数人が梯子のそばに立っています。
「おいおい。飛行機が動き出したら、皆落ちてしまうだろうに」
女性係員が隣でくすくす笑います。
「大丈夫ですよ。上にはワイヤーが何本も張ってありますから。上に乗った客はそれに掴まることができます。案外平気なものです」

平気なものか。
私はもう何年間も病気に苦しめられていますので、基礎体力が落ちています。
10分と掴まっていられないでしょう。
「ダメだ。とても乗られない」
すると女性係員が不思議そうに訊いてきました。
「旅客機の中でも上でも、行先は同じですよ。それに途中で手を放しても、同じところに着きます。要は乗るか乗らないか、ですよ」

それって、一体どういうこと?
よろよろと後ろに下がり、椅子に腰かけました。
15秒くらい考えて、答えが分かります。
「なるほど。アノーヨ航空か。行先は『あの世』ってことなのだな」
道理で、どこに乗ろうが、行き着く先が同じなわけです。

ここで覚醒。
確かに、もうずいぶんと長い間、あの世への最終ゲートの前に座ったままです。