目が醒めた瞬間に「これは凄い。本当に目が醒める」と痛感するような夢を見たのです。
しかし、朝一番で、所要を済ませているうちに忘れてしまいました。
最後は誰かを「ぶっ殺す」という内容だったと思いますが、夢の途中で「今は夢の中だ」という自覚があり、「このアイテムはこういう意味だ」などと考えながら、夢を同時進行的に解釈していました。
これは書き留めねばと思いつつ、先にコンビニまで宅急便を出しに出たら、その途中でカーポートが雪で潰された家を見たのです。
「ほう。これは気の毒だ」と思った瞬間、夢の記憶が消失しました。
その後、帰宅して寝直しましたが、これはその時に見たささいな夢です。
夢の世界に舞い降りると、目の前には女性が長椅子に座っていました。
テレビに出てる女医でタレントのナントカに似ています。
「Kさん。来てくれたんだあ」
「え?」
何のことか勝手が分かりません。
回りを見回すと、どうやらホテルのロビーにいるようです。
ソファに座っており、向かい側にはその女性と、中年の男性が1人座っています。
視線を下げ、自分のことを見ると、全身真っ黒なスーツ(礼服)を着ていました。
(もしや、結婚披露宴かも。)
しかし、最近はいつでも黒いスーツを着ています。
ヒチコックの見様見真似ですが、黒いスーツにネクタイを来ていると、それなりにきちんとしているように見えるのです。ヒチコックは風采の上がらないオヤジでしたが、しかしいつもダークスーツを着ていたのである種独特の風格を感じさせました。
私も十分すぎるほどトシだし、服を選ばずに済むのでいつも黒服でいることにしました.
礼服なら、別に服の値段にもほとんど気を払わずに済みます。
「ごめんね。案内も出さないで。今はどこにいるかわからなかったから」
女性が隣の男にめくばせをします。
(やっぱり結婚式だろうな。)
隣の男に眼を遣りますが、誰だったか思い出せません。
(オレの生前には友だちだったような気がするなあ。)
「生前?」
自分の頭に浮かんだ言葉に、自分で驚きます。
(いったい、そりゃ、どういうことだろ。)
「まさか、オレたちが一緒になるとは思わなかったろ」
向かい側の男が話し出します。
「何十年間も友だちだったのに、ややこしいことになってしまった。俺の前の女房とお前が再婚した上に、まさかお前の元の奥さんとこうやって結婚することになるとはな」
(やっぱり披露宴だったか。しかも人間関係が複雑。)
でも、今思い出したが、コイツの元妻で私の妻だった女は病気で数年前に死んだのでした。
落胆した私は、西海の島で暮らすようになり、知人との接触を断ったのです。
(風の噂にコイツらが結婚することを聞いて、ここにやって来たか、あるいは偶然ここに来たら披露宴をやろうとするところだったか。)
「どっちでも、ま、いいか」
私の独り言に、前の2人が同時に「え?」と声を出します。
でも、ここで私はあることに気づきました。
妻が死んでから、私はいつも黒いスーツを着ていますが、ネクタイもいつも黒です。
いわゆる「葬式ファッション」になっていました。
ヒチコックの影響だけではなく、心のどこかで喪に伏しているところがあったのかもしれません。
(披露宴じゃあ、黒ネクタイはまずいよな。)
でも、この2人。私が黒礼装だってことには気づいていないらしい。
さすが夢の中です。
ここで唐突に覚醒。
脈絡のない夢で、どういう意味があるのかサッパリわかりません。