日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第229夜 公演の前に

朝方になりトイレに起きた後で見た短い夢です。

私はチェリスト
どうやら明日くらいに公演があるらしい。

一昨日、オーケストラの全体練習をして、昨日は休みでした。
これは多忙な指揮者の都合です。

その開いた1日を使って、私は海外に出かけてきました。
婚約者と結婚の手続きをするために、どうしてもその日に現地に行かねばならなかったのです。
飛行機は片道6時間で、一昨日の夜に出て、昨日その手続きをして、また夜のフライトで戻って来たのです。
朝空港に着き、そのまま会場に来たのでした。

控室に行くと、なぜか誰もおらず、指揮者が1人で座っていました。
「どうしたの。もう今日の練習は終わったよ」
「え?」
「なんだか連絡が悪かったみたいだな。君の他にも5、6人が遅れてきて、もう皆帰った後だ」
「そうでしたか」
最後の練習に遅れたのに、指揮者がなぜか寛大なのは、運営側にミスがあったから。
連絡担当は、さぞこっぴどくどやされたことでしょう。

良かった。
長いフライトで、すっかり疲れ果てています。
髭も剃っていないので、この私の様子を見て、きっとこの指揮者は「だらしないヤツ」と思ったはずです。
「ああ疲れた」
(オレもです。)
初老の指揮者はテーブルの上にあった箱を開き始めました。
私の視線を感じたのか、少し箱の説明をします。
「これは甥が持って来た物だ。どうせご機嫌取りなんだろうけどね」
指揮者が箱から取り出したのは、シャンパンの瓶でした。
「こりゃいいぞ。早速開けて見よう」
しかし、すぐに針金を緩め始めた指揮者の手が止まりました。
「なんだこりゃ。泥がついてる。アイツめ。運ぶ途中で落としたんだな」
確かに、瓶の頭の近くに土が付いていました。
「君。申し訳ないが、これをどこかで洗ってきてくれないかね。最近はノロウイルスが流行っているから、私のような老人は気を付けないとね」
「はい」
瓶を受け取りますが、台所のような場所は、この会場には付いていません。
ノロウイルスの予防なのに、トイレの蛇口で洗ったら不味いだろうな。)
この指揮者は厳格なことで有名な人でした。

それ以上に、私の方は完全に疲労困憊しており、体が重くなっています。
鳩尾の辺りがぎゅっと苦しくなり始めていました。
(こりゃ心臓だな。エコノミー症候群になっててもおかしくない。)
私は心臓に持病があり、飛行機は苦手です。実際にはビジネスクラスに乗ったのですが、状況的には「エコノミー症候群」になっていてもおかしくありません。
(早く帰りたいな。あるいはどこかで横になりたい。)

少し困りつつも、仕方なくドアに向かいます。
すると、背後で「うっ」という声がします。
振り向くと、指揮者の顔が青ざめていました。
「なんだか吐き気がする。息を吸ったり吐いたりすると変な音がする」
ここで私はピンときました。
「時々、動悸がしたり、脂汗が出たりすることはありませんか」
「たまにね」
「風邪を引いていたりしますか」
「2週間くらい前から、風邪を引いている感じだが、熱が出ない」
やはり、間違いありません。
「先生。今の症状は狭心症ですよ。私は経験したことがありますのでわかります。心筋梗塞かもしれない」
「でも、胸は苦しくないよ」
「胸を押さえて『ウッ』と倒れるのは、テレビのドラマだけです。心臓は深刻な病状の時でも、案外苦しくないのです。病人が感じているのは違和感です」
「そうなのか」
指揮者はよろよろと椅子に腰を下ろしました。
「これから15分で病院に行けるかどうかが生死を分けます。すぐに救急車を呼びますね」

私は携帯電話を出して119番を押した。
「おそらく狭心症の患者がいますので、すぐに配車をお願いします」
(イケネ。「配車」はタクシーの時だな。)
「もうすぐ心不全になりそうな状態なので、なるべく早く来てください」

住所を言い、電話を切ろうとしましたが、最後にひと言付け加えました。
「患者はどうやら2人です。そのつもりで来て」
私のほうも疲労が積み重なったのか、不整脈がドコドコ始まっていました。

ここで覚醒。

夢の半ばまでは、別の展開があったはずなのに、途中で私の心臓に不整脈が出たので、夢を切り上げた模様です。
夢はどこかで体の状態と繋がっているわけです。