日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

そりゃホントか

4月15日朝の報道番組(またはワイドショー?)を見ていたら、司会者が「消費税率が上がったが、家計の中での消費支出はあまり変わっていない。景気への影響はそれほどではない」とコメントしていました。
ニュースソースをはっきり言わないのはテレビ番組の常ですが、2週間で調査結果を出せたとしたら、そのデータは公的機関の行った調査ではないですね。
家計なら総務省の「家計調査」が信頼に足る情報源ですが、月例報告を当月中にするのは無理な話です。
よって、どこか民間調査機関の行った小規模な調査ということでしょう。

「税率が上がったのに、家計消費が変わらない」は、そもそも解釈の誤りです。
消費税は収入の額とは関わりがないので、家計の中でのひと月の消費支出には、元々あまり変化が無い。
(消費税が上がったから、即時昇給してくれる会社がどこにありますか。)
しかし、税率が上がっているので、実際に買っている金額は「減っている」ということになります。
さらに、上がったのは消費税だけではなく、商品本体の値段も10~15%は上がった品が多いようです。
なら、結構減ってますね。

お小遣いの規模で考えれば一目瞭然です。
ひと月のお小遣いが3万円として(金額はいくらでも可)、前月までは、実質的な物やサービス本体に払ったお金が28,571円でした。今月になり税率が8%に上がったとしても、お小遣いを増やしてもらえるわけではありません。よって、同じ3万円の中で消費税を払うとすると、本体は27,777円ですので、ほぼ1千円近く「我慢する」ということになります。

「ここの司会者(もしくは番組スタッフ)は、これでいったい大丈夫なのか」と思い、コンビニに行き、新聞3つ4つ買ってみました。
さすがに同じ論調の記事はありませんでした。
売店の売り上げについて言及していたのは日経でしたが、「(まだ)あまり変わらない」のコメントです。
売上統計は、税抜き額では計上しないので、金額がほとんど同じなら、買われている商品(金額)は「やや減っている」ということです。

税率が変わって、まだ数週間なので、現段階で影響を評価するのは早計です。
影響が表に出るのは、3か月くらい後の話でしょう。
先週、ヤンキースの田中投手は「2試合くらいで評価するなよな」と言いましたが、それと同じです。

ところで、情報の統制と言うと、すぐに隣国のどこかが思い浮かびますが、実際には日本もかなりの情報操作が行われているようです。
例えば、政府内に「生活保護費を抑制する方向で検討する」という方針が見え隠れすると、すぐに「生活保護をだまし取って逮捕」というニュースが、続けざまに流されます。
多少、うがった見方をすると、今回も「消費税を上げても景気への影響は少ない」という風潮を作りたいのかもしれません。
(もちろん、今それを言うのはかなりのフライングです。)

世論をねつ造するのは、テレビよりネットの方が楽で、ネット上ではツイッターなどを媒体とした「感想の陰に隠れた誘導」が行われます。 
個人的感想であれば、公序良俗に反さない限り、原則的には「何を言っても構わない」。そこで、山のように感想・意見を重ねて流せば、あたかも「世論」が存在するように見えてしまいます。
メディア媒体では、「報道」には確からしい根拠が必要とされるわけですが、ネット上の「感想や意見」には、「あくまで個人的見解」として許される面があり、はるかに便利でしょう。

こう考えると、14日に報道された「専業主婦の配偶者控除を見直す方向」は面白い材料です。
なぜ税制を見直す必要があるか。
報道によると、「主婦が課税逃れのために、給与収入を103万円以内に留める傾向があるから」なそうです。
これは、まるで、そのことが不正であるかのような言い方ですね。
しかし、ラインを越えれば、手取りが減るのに、誰が余計に働くかって!
主婦は家計を助けるために働いているのであって、税金を払うためではないです。

この流れで、おそらく次に流されるニュースは、
「パート勤めで103万円以下の申告をしているのに、その実ブランド品まみれの主婦」
「パート主婦がこんなに脱税していた」
「お給料はぜんぶお小遣いにする優雅なパート主婦生活」
あたりでしょうか。
それなら課税しても当たり前ですよね。
アイロニーですよ。念のため。誘導ニュースであって、実態が反映されていないウソ報道です。)

「ウソの報道」や「情報操作」を見分ける簡単な方法は、「情報源が明らかかどうか」が最も分かりよいです。
あこぎな作り話や誘導を行う際には、自然と自分の名前をさらすのを避けるわけです。
まあ、「いつ」「誰が」「どこで」「誰に対して」調べたのかは、常にチェックする必要がありそうです。