日曜の朝方に観た夢です。
新幹線を降り、改札口を出た。
たまたま目の前にいた女と視線が合った。
「あら」
その女は昔付き合っていた女だった。
もう何年くらい前になるのか。
「どうしたの?」
「いや。用事があってこの街に来た。今日はここに泊まる」
「どのホテル?」
「慌てて出て来たので、ホテルは予約していない。ま、どこかあるだろ」
「じゃあ、家に泊まる?一軒家で部屋は幾つも空いているから」
そうは行かないよな。
昔は一緒に暮らしていたとはいえ、今は他人だ。
「いやいいよ。迷惑だろ」
「大丈夫よ。他にも色々居候がいるし、気を使わずに済む」
「オレが人見知りだってのは知ってるだろ」
しかし、その女はオレの言葉を聞かず、旅行鞄を引っ張って駐車場に向かった。
強引なところは相変わらずだ。
半ば無理やりのかたちだが、悪い気はしない。
相性が悪く一緒に齢は取れない相手だが、どこか馬が合った。
ま、オレは基本的に助平だからだな。
「そっちの相性は合っていたものな」
知らぬうちに、言葉に出して言っていた。
「え?何」
女が言葉の端を聞き止めたようだ。
「何でもないよ。由香里」
由香里の家に行くと、確かに大きな家だった。
「スゴイじゃん。都心にこんなでかい家があるなんて」
「なあに。前のダンナの家よ。離婚した時に貰った」
「ふうん」
知らないうちに結婚して、離婚していたわけだ。
なるほどね。
「ケンジさんは結婚してるの?」
「ああ。オレ好みの地味なヤツだ」
「浮気癖は直ったの?」
「いや。全然。その証拠に、こうやって昔の女の家に上り込んでる」
しかも、当然のことだが、少なからずエッチな気分にもなっているわけで。
居間のソファに座る。
「何か飲む?」
「じゃあ、コーヒーを」
由香里が戸棚を開けると、カップが山ほど入っていた。
なんだこりゃ。居候がいると言っていたが、いったい何人いるんだろ。
「ま、ここでくつろいでて」
由香里が部屋の外に出て行く。
「この家。部屋は幾つあるんだろ」
何となく興味を持ち、廊下に顔を出す。
長い廊下だ。
1階には居間の他に、7つくらいのドアが見える。
もし廊下が突き当りで左右に折れていれば、さらに幾つか部屋がある。
廊下に出て、少し歩いてみた。
すると、部屋の1つからゴトゴトと音が聞こえた。
「そう言えば、誰かと一緒に暮らしているんだよな」
迷惑にならんように、静かに歩かねば。
そっと足を運び、そのドアの前を通り過ぎようとした時、急にそのドアが開いた。
そこから若い男が顔を出した。
「あ。どうもこんにちは」
「こんにちは。お邪魔してます」
下げた頭を上げると、ドアの隙間から部屋の中が覗いた。
若い男や壮年の男まで、6、7人が座っている。
ここで目の前の男がオレに話し掛ける。
「貴方は新しい人?」
「え?」
どういう意味だろ。
新しいか古いかと訊かれれば、オレは古い方だな。
「今日は沢山来てるから、あなたはだいぶ後の方だよ」
だいぶ後。
その「だいぶ後」って、いったいどういう意味だろ。
ま、いいか。やっかいになるんだし。
「分かりました」
とりあえずそう答えると、男は納得したように頷いて、ドアを閉めた。
「何だか奇妙な暮らしをしているようだな」
ま、昔から由香里は変わり者だったからな。
父親は某銀行の頭取で、退職するときに平気で30億も退職金を貰うようなヤツだった。
ま、すぐにその銀行は吸収合併されて無くなったわけだが、それもそうだろ。
由香里はその父親のひとり娘で、何不自由なく育った。
生活苦を一切知ることなく育った者は、頭の中まで自由で、物事にとらわれない。
だから、由香里は絵や音楽に秀でていたっけな。
「自由奔放が許されるのは、金持ちだけだからな」
しかし、そういう女と一緒にいると、一般人はもの凄く疲れる。
オレは助平で、そのまま年を経てエロオヤジになった男だが、由香里とは1年ももたず別れたのだった。
廊下をさらに進むと、ドアが半開きになった部屋があった。
その部屋も中で何やら人の気配があった。
何となくその部屋の前に立ち、中を覗いて見た。
すると、部屋の中央にベッドがあり、由香里が男とエッチをしていた。
しかもかなり激しいエッチだ。
「相変わらずと言うか、スゲーな」
ドアの前に立つオレの気配に気づいたのか、由香里がこっちに顔を向けた。
すぐに相手の男を押しやる。
「ちょっとあっちの部屋に行ってて。この人は私の大切な人なんだから、この人が先。7年ぶりに会ったのよ」
男はすぐに由香里から身を離した。
「了解。じゃあ、皆にもそう言って置くから」
おいおい。さっきの部屋の男たちは、全員が由香里の「オトコ」ってこと?
昔から発展家だったとはいえ、恋人か愛人が8人いるのはすごい。
しかも皆が家族のように、由香里を共有してらあ。
「ま、由香里は床上手だったからな。並の男じゃイチコロだろ」
由香里が笑う。
「バカ言ってんじゃないわよ。褒めてないよ、それ」
「でも、お前の不思議なところは、これだけ男出入りが派手なのに、スレてないってとこだね。どこか清潔感が残ってる」
女はベッドでじっとオレを待っている。
オレの方は少し躊躇うところがある。
「味の濃い料理と同じで、たまに食べるのは美味しいんだよな」
でも、やっぱり毎日は食べられない。
外で女遊びばかりしているダンナだが、今の妻は愚痴1つこぼさない。
足を前に踏み出すか、背中を向けドアから出て行くか。
オレの腹が決まるまで、あと1分くらいはかかりそうだ。
ここで覚醒。
ストレートに性的な内容でした。
直ぐ後に、「車を抱えて」外出したら、台風に遭ってしまい・・・という夢を観ました。
「車を抱えて」というのは、その車が折り畳み出来るマセラッティみたいな車だからです。
「折り畳み出来る車」なんて、まさに男性の象徴だろうと思います。
あくまで夢なので、多少品が無いところは致し方ありません。
不快に思われた方には陳謝します。