日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

ひとり以上多い

つい最近の出来事について。

何度も書いていますが、当家には目に見えない家族がいます。
当家は夫婦と子ども3人で、計5人。
子どもたちの構成は、娘が2人で息子が1人となります。

ところが、この他に、さらに女の子1人がいます。
昔から、家族で外食に出掛けた時には、入り口で「5人です」とはっきり伝えますが、しかし、出て来るのは必ず6人分です。
どうやら店員には、もう1人見えているらしい。
水やおしぼりくらいなら影響はないのですが、料理も1人分多く出てきたりします。

親2人は両方とも直感が働く方で、かつ各々かなり鋭いです。
ただし、波長のようなものはずれているので、両方が同時に響くことが少なくなっています。
ダンナが「うわ」と叫ぶ時と、家人が「ここは気持ち悪い感じ」と言う場所も局面も違います。
ところが、「6人目の家族」についてだけは意見が一緒です。

女の子で、年齢は17歳くらい。
娘たちが小さかった頃は「お姉ちゃん」だったのに、今は2人に追い越されてしまいました。
いつもいるのは2階で、家に私が1人でいる時などは、2階の廊下で足音が聞こえます。
玩具の類を触ることがあるらしく、「ことん」と物が落ちることも。

これがごく当たり前になったので、いつの間にか親2人はその子を家族の一員と誤認するところまで来ました。
一昨日は、夕食の支度が出来たので、妻に「上の子どもたちを呼んで」と頼んだのです。
当家は1階で父親と息子、2階に母親と娘2人が寝起きしています。
妻が階段下で「ご飯だよ!」と2階に声を掛け、戻って来て、ダンナに告げました。
「3人とも寝てるみたい」
「3人?上にいるのは2人だよ」
「あ。そうだった」

ダンナの方も同じです。
役所に書類を取りに行き、「家族構成」を書く段になり、「娘は〇〇と△△と、あと1人は誰だっけ」としばらくの間、ペンを止めて真剣に考えてしまいます。
姿かたちは分かるのですが、名前が出て来ません。
「オレはもはやボケけたのか」と気落ちしますが、冷静に思い出すと、娘は2人だけでした。
顔も分かるのに、もう1人は存在していません。

この子については、何ら悪意を感じませんので、親2人は別に何とも思っていません。
たまに、「あれま」と驚かされるだけです。
いつも2階にいることが多いので、影響もありません。

ところが、当家の1階にはいわゆる「通り道」があり、別の方々が出ます。
階段の下から廊下の一部、および台所付近が該当するのですが、それらの場所では時々おかしなことが起きます。
当家の料理担当はダンナです。
ダンナが料理をしている時など、食器棚のガラスに人影が映るのを頻繁に目視します。
これは一瞬ですが、想像以上にはっきり出ます。
(「気がした」程度の次元ではなく、顔かたちまではっきりです。)
また、居間の扉の擦りガラスにも、時々、向こう側を人が通るのが見えます。
もちろん、当家の家族では無い人です。

最も酷い時には、その扉を開いた時に、廊下に立っていたりするのです。
背中を向けて黙って立っているだけですが、さすがにこれは驚いてしまいます。
このことは、子どもたちには話していません。
もちろん、過剰に「気持ち悪い」と思わせたくないからです。3人のうち次女だけは家の中で人影を見る方ですが、他2人はまだほとんど感じていません。

つい1週間前のこと。
夜の1時ごろに階段を下り、居間に入る直前に廊下の方に目をやると、女が立っていました。
「ちぇ。出たか」
すぐに姿が消えたので、居間に入り、台所に向かおうとしたのです。
すると、灯りの無い台所から、ざんばら髪の女がぬっと出て来ました。
「うわあ!」
正面から視線が合うことは滅多にありませんので、さすがに驚きました。

出て来たのは長女でした。
風呂上りに、食べ物を漁りに台所に来たようですが、面倒くさかったのか、灯りを点けなかった模様です。
思わずひと言言ってしまいました。
「おい。灯りを点けろ。あと髪を切れ。幽霊か妖怪みたいで気落ち悪い」

この「気持ち悪い」が癇に障ったらしく、長女はそれから口を利かないだけでなく、父親の前には一切出て来ません。
相当腹が立ったのだろうと思います。
ただし、その時親が見ていたのは、別の気持ち悪いヤツです。

娘(次女の方)によると、親に「ブス」と言われると、もの凄く腹が立つそうですが、「気持ち悪い」では尚更です。
でも、親の方は、娘のことではなく、家の中をうろつく霊のことを言っているのです。
「見えず・聞こえず・感じず」の者に、一体どう説明すれば良いのか、いまだに頭を悩ませています。