日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

扉を叩く音 (12) 「まだ生きている」

3月27日午前2時5分の記録。

居間のテレビの前で横になっていました。
夕食後、そこに座ったら、そのまま後ろに倒れて眠り込んでいたのです。

唐突に「ピンポーン」と玄関のチャイムが響きます。
「なに?」
目が覚めると、息子が起きていました。
「今、チャイムが鳴らなかったか?」
「鳴っていないよ」

そうなると、その音は頭の中だけに響く音です。
たぶん、「起きよう」という自意識があり、これが作用したのでしょう。
学生の頃は、目覚ましの音が響いて目が覚める、なんてことはよくありました。

ところで、郷里の父(80台)はこの正月に体調を崩し、生死をさまよいました。
その後、妄想を見聞きするようになり、「今、玄関に※※が来た」というようなことを話すようになったとのこと。
「※※」は知人の名前で、既に亡くなった人です。
母は「すっかりボケて来たのかも」と言いますが、晩年になり、妄想を見るようになる事例は数々あります。
あえて夏目漱石の名前を出さなくとも、知人の中にも「うるさい!」と叫んで、食器を壁や外に投げつけた人の話を複数聞きます。
私はかなり前から、見たり聞いたりしていますが、これも「お迎えが近い」ってことの兆候なのでしょうか(苦笑)。
しかし、起きている時に、複数の家族が同じ音を耳にしていたりするので、やはり実際に「人間(泥棒)」か「説明できない何か」がドアを叩いていると思います。

ところで、「まだ生きている」は、チャイムが鳴った直後に頭の中で聞こえた言葉です。
「まだ生きているよ」
いったい、それは誰のことだよ。
「あの女の子」という単語が頭に浮かびます。
しかし、その「女の子」ってのは誰のことなの?

それはともかく、「まだ生きている」は想像力を刺激する良い言葉です。
ヒチコックの映画の題名にもありそうな感じがします。