日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第375夜 ふたたび「閉じ込められて」

家族が職場や学校に出た後で、居間で横になりました。
そのまま5時間くらい眠っており、延々と悪夢を観ていました。
これはその夢の一部です。

俺は箱崎五郎。
あの鹿葉山駅の事件から1年と数か月が過ぎた。
あの事件は謎の大量死事件として、海外にも「プラットホームの恐怖」という名で打電された。
あの場にいた俺や友人の神林勝は警察の取り調べを受けたが、亡くなった駅員の死因が特定されると、すぐに釈放された。
死んでいた駅員は、皆、自分で自分の首を捻じり折って死んでいたのだ。
結局、あの事件は詳細が分からぬまま、捜査が打ち切りとなった。

その後、俺はあの時のことを手記に書いた。
これが大ヒットして、今も売れている。
まあ、幽霊や怨霊の話はソコソコの人が関心を持っているのと、俺が実際に悪霊に憑依された当の本人だったから、そこが読者の関心を引いたのだろう。
悪霊を外から眺めて、恐怖をあおる小説は山ほどあるが、自分が悪霊に乗っ取られた時の感覚を描いたものはこれまで存在しない。

ともあれ、俺は一介のフリーライターから、誰もが名を知る作家になった。
今のところは、専ら怨霊畑だが、いずれは違うジャンルのものも書くつもりだ。
もちろん、ずっとラブクラフト路線で通すのも悪くは無いとは思う。

机に座ってぼうっとしていると、電話が掛かってきた。
神林だった。
「おい。ニュースを見たか」
「何だ。何があった」
俺はメディアが嫌いで、テレビをほとんど見ない。
ネットはもっとウザいので、ニュースの類は紙の新聞で読むことにしている。
「死体が消えた」
「え?」
「遺体保存室に入れられた死体がひとつ行方不明になっているぞ」
「盗まれたってことか」
「お前。消えたのはあの遠山病院だ」
遠山病院か。俺が廃コンビニで小名川響子の悪霊に取り憑かれた時に、運び込まれた病院だ。
あの事件で亡くなった人は、皆、あそこに運ばれたんだっけな。
「それと、その死体が歩いて出て行くのを見た人がいる。見たのは1人だけなんだけどな」
死んだ人が自分の足で遺体保存室を出て、外に行った。そんな話だ。
「あの時。悪霊は思いのほか簡単に、あの女の救急隊員の体から抜けた。あれは成仏したんじゃなくて、ただ隠れただけということじゃないのか」
「その可能性もある。よし、これから遠山病院に行くぞ」

ここで中断。
話が長くなるのと、かなり良いネタだったという意味です。

これも「閉じ込められて」の続きでした。
目が覚めた時には「やった。やった」と快哉を叫びました。
何せ、悪霊の側から、生きた人間がどう見えているのかを書いた作品は、これまでありません。

箱崎五郎と神林勝は、悪霊を鎮める方法を探すために、鹿葉山駅の駅長に会いに行きます。
駅長は、悪霊に憑依された女性救急隊員が「ケンジさん」という名前に著しく反応するのを記憶していました。
一方、悪霊はいまだ自分が誰かが分からない状態なので、それを探すべく鹿葉山駅に向かいます。
双方にとって「ケンジさん」が鍵になっているのです。

「閉じ込められて」の本番は、やはりこれからでした。
冷えないうちに小説に直し、「夢幻行供廚房?燭垢襪發里箸靴泙后