日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第471─2夜 一人多い。

◎夢の話 第471─2夜 一人多い。
 その1は左脳で観ていた夢で、こっちは、たぶん右脳で観ていたものです。

 眼を開くと、バスの運転席にいる。
 オレはバスの運転手兼添乗員で、今夜は相棒と一緒に長距離バスを運行することになっていた。
 開いたドアの下では、相棒がチケットを受け取り、バスの中に客を入れていた。
 ひと通り乗り終わると、相棒が座席に座っている客の数を数えた。
 「おかしいな」
 相棒は通路をゆっくりと歩き、客の数をもう一度数えている。
 相棒が戻って来たところで、確かめてみた。
 「どうしたの?」
 相棒が首を捻る。
 「今日のお客は36人の筈なんだけどな。チケットも36枚だ。ところが、バスの中には37人乗っている」 
 「長距離バスは予約制だから、誰が乗ったかはチケットを見れば分かる。でもチケットを受け取った後は、もはや誰がその人かは分からないね。ま、良いんじゃないの。多い分には。勘定が合わなくなることも無い」
 最近は会社のチェックも厳しくて、金勘定には煩い。
 高速代金が多くなったりすると、運転手が身銭で補填させられることもある。
 「もはや確かめようがないんだし、まあ、良いか」
 「そうだな」
 時間も押していることだし、そこで出発。
 バスは8時間かけて、ある場所に向かうことになっている。
 夜行バスで、トイレも付いているが、3回ほど休憩もある。手足を伸ばすためだ。

 4時間ほど走り、2回目の休憩が来た。
 次はオレの運転当番なので、オレが運転席に座った。
 しばらくすると、客たちがバスに戻って来た。
 皆が座ったところで、相棒が客の数を数える。
 「おかしいな。また勘定が合わない」
 「また増えてるの?」
 「いや。今度は1人足りない」
 「トイレが長く掛かってるんじゃないの」
 「そうかもな」
 しかし、それから15分経ち、20分経っても、その1人が戻って来なかった。
 「どうしたんだろな。さすがに他の客が文句を言って来てる」
 「来ないのは誰だか分かってるか」
 「何となくね。右側の後ろの方に座ってた赤い革のコートを着た女の子だろ」
 それなら、確かにバックミラーに映ってたな。

 それからまた十分が過ぎた。
 相棒がトイレや売店の中を探したが、それらしき女性は見当たらない。
 「自分の都合でバスを下りたんだろうな。なら、もう出発しても良いんじゃないか」
 「元々、36人だったし、これで丁度良くなるわけか」
 「金を払わずに乗った客だったらなおさらだよ。置いて行ったって文句は言えないだろ」
 「そうだな。もう出発しよう」
 こうして、オレはバスを出発させた。

 それから1時間ほど運転する。
 かなりの山道で、道には街灯らしきものが設置されていない。
 暗がりの中、オレはヘッドライトだけを頼りにバスを走らせた。
 うねうねと曲がる山道を終え、カーブが緩やかになって来る。
 「そろそろ、危ない所は過ぎたかな」
 少しホッとする。
 天気も悪くないし、道だって大丈夫。この時期は凍結したりしているものだけど、それも無かった。
 ここで、緩い左カーブに差し掛かる。
 道の先はよく見えないが、この辺は交通量も少ないから、対向車が来れば灯りで分かる。
 オレはゆっくりとハンドルを左に切り、カーブを曲がろうとした。

 すると、ちょうどカーブの一番外側に来たところで、突然、道路上に赤いものが見えた。
 センターラインの上に、人が立っていたのだ。
 「あ。あれは」
 赤い革のコートを着た、あの女だった。
 突然、バスから消えたが、あれは・・・。
 女の姿がフロントガラスの前面一杯に拡がる。
 女の顔の造作までもがはっきり見える。 
 「わあ」
 オレは思わずハンドルを大きく左に切った。
 もちろん、女を撥ねないようにするためだ。
 急ハンドルのまま、オレのバスは左側のガードレールに衝突すると、その反動で今度は右側に大きくそれてしまった。
 オレのバスが逆方向のガ-ドレールに突き刺さる。
 バスがガードレールを破ると同時に、オレは前に投げ出され、それきり意識を失ってしまった。

 ここで覚醒。
 最初に左カーブの左側のガードレールに衝突しているところを見ると、運転手の居眠りでは有り得ません。その場合、遠心力があるので、最初から右側に進みます。
 それが左側ということは、道の真ん中にある(いる)ものを避けた、ということ。
 鹿や猪などの動物がいたというのは、起こり得る事態です。

 「乗客が1人多かった」というのは、あながち、杜撰さが招いたものでは無いのかもしれません。
 バスでは、人数を数える時に、客席の間を通り、指差し確認で数えます。
 滅多に間違える事は無いので、如何にも不自然です。
 こういう時の「不自然さ」は、きちんと心に留める必要があります。

 昔、夜中の2時頃に某山中を走っていて、道の真ん中に「赤い服の女」が立って居たので、急ブレーキで停止したことがあります。
 ぎりぎりのところで、女の人を撥ねずに済み、また、車ごとがけ下に転落することも避けられました。
 しかし、後ろを振り返った時には、女の姿はありませんでした。

 あれこれ気になるところや、自分自身の記憶と重なることがあり、こんな夢になったのでしょう。
 人為的なミスではないのかも、と誰かが脳裏で言ってます。

 亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。