日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第553夜 証拠を見せる

夢の話 第553夜 証拠
 6日の午前2時半に観た夢です。

 深い澱みの底から、少しずつ浮き上がる。
 オレは次第に自意識を回復して来て、「居間の床で寝ていた」ことに気が付いた。
 あの地震の時に、暫くの間、家族が揃って居間で寝起きした。
 何日かすると、皆がそれぞれの部屋に帰ったが、オレ独りはそのまま居間で眠るようになった。
 床のカーペットの上で、毛布を被って眠るわけだ。
 その前は長らく長椅子で寝起きしていたから、大して変わらない。

 「もうちょっとで目が覚めるよな」
 自意識はあるが、体が動かない状態だ。
 ここでオレの脇に、誰かが立っていることに気が付いた。
 ただ黙って立ち、たぶん、オレのことを見下ろしている。
 「たぶん」なのは、オレが目を瞑っているせいだ。

 その女が口を開く。(そこに立っているのが女だと分かった瞬間、言葉を発したのだ。)
 「私を連れ出してちょうだい」
 え。どういうこと?
 「ただ、来てくれればいい。勝手について行くから、帰りに神社に寄ってくれれば、そこで下りる」
 ってことは、生きている人間じゃない。幽霊か。

 頭に具体的な場所が思い浮かぶ。
 (もちろん、実在する場所なので名称は書けない。)
 建物で、オレはその玄関の前で記念写真を撮っている。
 珍しくオレの方が被写体だ。オレは変な光やら煙玉が写るのが嫌なので、ほとんど画像には入らない。
 「そう。そこ。私はそこにいます」

 オレは近々その近くに行こうと思っていた。
 なぜか小さな用事が重ねてでき、それがいずれもその場所の近く。
 妻は「それならそこにも寄って来ようよ」と言っていた。

 「お礼に、そこで写真を撮ったら、写ってあげるから」
 すぐさま、そのイメージが広がる。
 玄関の前にオレが立ち、妻がそれを撮影する。
 オレの後ろは全面がガラスの扉だ。
 そのガラス戸一杯に、左側の目が写っている。
 縦が二メートル、横が四メートルくらいの大きな左目だ。

 「あなたの言うことを誰も本当だと思わない。ほとんどの人が見えないし、聞こえないからだよ。でも、そういう風にかたちを示せば、少なくともあなたが嘘をついてはいないことを知るでしょう」
 すると、その女の逆側、すなわちオレの左側で人の気配がした。
 「それはどうかな」
 今度は男の声だ。
 「人は自分のものさしに合わせて物事を眺める。そして、自分の考えが及ばぬものを見ると、やっきになって否定しようとする。嘘だ、まやかしだ、作り物だとね。いくら写真を見せたところで、合成だと言われるだけだ。自分が理解できないものが実在するってことは、自分を否定されることと同じだからだ」
 すかさず女が否定する。
 「それは違うわよ。世間の人は客観性という言葉が好き。実際にはそんなものなんて存在しないんだけどね。そういう幻想を観ている。写真はその最たるものなんだから、必ず証拠になる」
 「いや。こいつはただお前に取り憑きたいだけだろう。お前の自我に入り込めば、好きなことが出来る。大体、生きた者に語りかけるのは、あの世に行けていないヤツなんだから、関わっても良いことはない。耳を貸すな」
 「私は自分ではここを出ることができない。誰かの助けが必要なの。神社まで連れて行ってくれれば、そこで必ず離れる。だから、ここに来て」 
 「やめておけ。関わるな。こいつの言うことも、他の者たちも放っておけばよい。あの世のことは、それこそ死ねば分かるんだよ」
 ここで女が男に向かってヒステリックに叫ぶ。
 「私の邪魔をするな。私が幽霊であの世に行けぬ者だとしたら、お前だって同じじゃないか。お前はいったい何なの?」

 すると、男が重々しい口調で答えた。
 「オレは幽霊じゃない。オレはコイツの深層意識から分かれた者で、すなわちコイツ自身なんだよ」
 ここで覚醒。

 その場所には間もなく行くことになっています。
 夢ではなく、起きている時に「ここに来て」という声が聞こえます。
 どの位置に立ち、どういうアングルで撮影したら、「ガラス一杯に目を映し出してくれる」とのこと。