◎「小鬼拾い」
日曜の朝になり、家人が「そろそろ小鬼を拾いたい」と言いました。
「それなら大きな神社かお寺の前だ。川越だな」
ちょうど川越に小さい用事がありましたので、早速出かけることにしました。
ちなみに「小鬼」とは、「小さい悪霊」のことで、大きな悪さは出来ないが、小さい悪戯なら可能なヤツのこと。
小鬼が傍にいると、憎らしい人に会った時に、自分が何もしなくとも、相手に小さい意地悪をしてくれるらしい。
例えば、「道でつまづく」とか「スリッパや靴を片方失くす」などです。
家人の言う小鬼は冗談ではないので、従ったほうが無難です。
実際、ダンナがよその女性と食事に行ったら、「ドアが開かなくなる」事態が何度も起きたので、ダンナもこの手のには抵抗しないことにしています。
自動ドアやエレベータの扉が、笑えないくらいの回数で開かなくなるのです。
1日のうちに3度4度起きると、さすがに考えてしまいます。
ま、この辺は、当家は夫婦とも変わり者です。
家人は川越大師を想定したようですが、寒中、長い距離を歩くと、ダンナの心臓がもたないので、銭洗い弁天にしてもらいました。日曜の川越に行ったことのある方は、道がどんな風だか想像がつくと思います。「とても千人の桁ではないのでは」と思うくらい観光客がいます。
最初に自分たちがお参りをした後、鳥居の前に行くと、観光客がひっきりなしに脇を通っていきます。
鳥居の前で小鬼は落ちますので、それを拾う。そんな段取りです。
中国人観光客が沢山来ており、石畳の前で靴を脱ぎ、歩いていました。靴は普通、手に携えていくのですが、その人たちは脱ぎっぱなし。
「あれじゃあ、痛い思いをして端まで歩いても、靴を履くために、また戻って来る羽目になるよな」
小鬼を沢山連れていそうなので、ちょうど良いです。
そこから川越名物の鰻を食べ、満足して帰りました。
ダンナは食事制限のため「並」で、家人はいつも「特上」。
このため、鰻の時には割り勘にしてもらいます(苦笑)。
やっぱり何となく癪に障るためです。