日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎一番怖いホラー映画

◎一番怖いホラー映画

 病院のベッドに横になっている時には、専らDVDを観ています。
 ベッド脇には自分専用の装置が置いてありますので、ソフトを持参すれば幾らでも観られるわけです。
 いつも『クリミナルマインド』のようなサスペンスドラマかホラー映画を観るのですが、昨日もホラー映画を観ていました。
 私がくすくすと笑って観ているので、看護師が目を留めました。
 「何を観ているんですか?コメディ?」
 「ホラー映画だよ。エリエネー出し方をしてるから、つい笑ってしまう」
 何百と観ていると、「つくり」が見えてしまい、驚きや恐怖が少なくなります。

 「沢山のホラー映画を観てるでしょうが、一番怖いと思ったのはどれですか?」
 うーん。良い質問だ。
 「そりゃ『シャイニング』だね。筋はありきたりだが、映画はスゴイ。こいつは現代ホラー映画の原典と言われているが、普通の映画も含めてこいつの影響を受けている映画はすごく多い」

 「じゃあ、一番怖かった場面はどれですか?」

 最初に観た時は、主人公がいわくのある部屋に入り、前の管理人に殺された妻の幽霊に会う場面が一番怖く感じました。お風呂に入っている女性がバスタブから立ち上がり、近寄ってくるのですが、主役のジャック・ニコルソンがその女性の体に手を回すと、いつの間にか老婆に変わり、死体に変わりと変貌する場面です。
 その時の老婆の笑い声がとても怖かった。

 しかし、映画ソフトを購入し、幾度も見返しているうちに考えが替わります。
 この映画で最も怖い場面は、最初の方に、やはり前の管理人に殺された双子の少女が出てくるのですが、この登場シーンがもの凄く怖い。
 ふと気付くと、双子の少女が忽然と姿を現していて、じっと自分(この場合は管理人の息子)を見ている。
 あの佇まいや視線の感じが、本物の幽霊の出方にそっくりです。

 目視で幽霊が見えるときには、ほんのゼロコンマ数秒だけですが、ある瞬間、ぱっと現われます。 それもきちんとした人間の姿で見えますので、最初は「どこから来たのか」と驚くのですが、目を離すと再びパッと消えます。
 なお「きちんとした人間」というのは、普段見ている人の姿をしているという意味で、半透明でもなければ、足もあります。影もありますので、その時にはきちんと実体として現われているということです。

 双子は無表情に、ニコルソンの息子役の子ども(観客)を見るのですが、「表情がない」という点にもリアリティを感じます。笑っているように見えたり、睨んでいても、どこか血が通っていない冷たい感じがあります。

 あとは終盤のダンス場面です。
 死者たちが宴会を開いているところには、実際に幾度か出くわしたことがあります。
 声高に話す言葉が明瞭に聞こえるのですが、それは現実には誰もいない場所から響いていたのでした。

 こうしてみると、要するに「自分が体験したことに極めて近い」という意味で、『シャイニング』に怖さを感じているということです。