日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第45夜

毎日、睡眠中に見た夢の1つか2つを目覚めた後も憶えていますが、これはそんな夢の話です。ちなみに別の掲示板にも継続し記録していたため、最初から「その45」になっています。

「その子は自分と仕事のどっちが大切かと聞くんだよ」
女性に向かって、自分の交際している別の女性のことを話している。場所はナイトクラブで、話相手の女性は馴染みのホステス。私は20代後半くらいで、まだシンクタンクの研究員兼大学の非常勤講師だ。ほぼ事実に近いので、夢と言うより思い出と言ったほうが正確かも。

「月並みなフレーズだよなあ」
私のその言葉を聞き、グラスに氷を入れていた女性が、くくと笑う。
「Kちゃん(私のこと)は、ゼッタイに仕事だって答えるタイプだよね」
そのとおり。口喧嘩になり、たった今、マンションを飛び出てきたところだ。
「そういうことをあえて聞かれるってことが嫌なんでしょ」
全くそのとおり。空気と食事、どっちが大事かと聞かれるようなものだろう。どちらが欠けても人は生きてゆけない。
そんなこと比べられるか。
要するに質問が目的ではなく、「自分のことをもっとよく見てくれ」ってことなんだろうけど。あえてそういうことを聞くような精神構造に腹が立つのだった。
「わがままを言って振り回すのが女の子だよ」
その2つ年上のホステスは、いつもお姉ちゃんの役だった。

客筋の知人とタイへ10日ほど旅行したのだが、帰国したのが前の日。
その翌日(すなわち今日)には、それまで5年ほど付き合っていた女性と会ったが、いつもどおりささいなことから口喧嘩になったのだった。
タイでは東部まで脚を伸ばし、採掘現場の近くまで行き、ルビーの指輪を買った。土産の指輪を出す前に喧嘩になったので、ポケットにはその指輪が入ったままだ。
「これ、ユキさんにあげるよ。タイのお土産です」
「ほんと!どうもありがとう」
ユキ姉さんは早速箱を開け、中身を見ている。
「指輪!」
嬉々として指輪をさわっていたユキ姉さんは、あることに気がついたよう。
「これって、お給料の3か月分くらいするんじゃないの?」
鋭いなあ(別の女性用だし)。しかし、さすがにそういう意図じゃない。もちろん安くはないけどね。

「いつも話を聞いてもらっているから、ユキ姉のために買ったんだよ」
ウソだけど、他の誰かの使いまわしでは良い気分じゃないだろう。
ユキ姉は指輪を薬指にはめ、シャンデリアの光にかざしじっと見ている。

自分の彼女のことも、ユキ姉のことも、別の世界の事のように遠く感じる。
ここで覚醒。

あれから程なく研究所を辞め講師を辞め、女性とは別れ自分の会社を作ったのだった。