日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第46夜

知人に請われ、その方のお宅を訪問した。
玄関を上がり、家人に導かれ客間に通される。

12畳ほどの広さの客間の中央には、女がひとり座っていた。
白い巫女装束の女の年恰好は概ね27、28歳くらい。
色白の肌に、赤い頬紅とさらに赤い口紅が、鮮烈に輝いて見える。

知人がその女に私を紹介する。
「この○○さんは私の知人で、霊感が物凄く鋭い人なんです」
軽く会釈をすると、女は無表情に私を見る。
まばたきをしない、黒く大きな瞳。

「電話で伝えたとおり、今この家では妙なことが起こっている」
知人が改めて説明を始めた。
誰もいない部屋で人の気配がしたり、テレビが点いたり消えたりする。食器が棚から落ちることもあると言う。
「一番、酷いのは唸り声で、びっくりするような大きな声で、突然ううっと唸るんだ」

「オマエはどう思う」
知人の説明をさえぎり、女が私に尋ねた。
初対面のオヤジを「オマエ」呼ばわりかよ。少しゲンナリする。

客間の隅を見渡すと、あちこちから腐臭がするようだ。
ははん、これは。
「動物霊だね」
強い臭気は、動物霊かここの家人に恨みを持つ死霊だ。

「オマエに何がわかる」
甲高い声で女が叫んだ。
先ほどとは打って変わり、半白眼。
「オマエなんかに何がわかるってんだ!」
女は急に立ち上がり、私の腕に掴みかかる。

女に掴まれた左腕には、明らかに「肉球」の感触がある。狐か狸、あるいは猫かも。
あれま、強烈な仲間を家に呼び込んでら。
左腕がじんじんと痺れ、その痺れは徐々に首や胸に広がってくる。

ここで覚醒。