日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

「タカオくんの梨の木」開始

1月9日より、盛岡タイムス紙上で「タカオくんの梨の木」の連載が始まりました。
現代劇ですので、署名は「ノボル」としてあります。
私は1昨年、昨年と、病気のため入院しましたが、これはその在院中に見聞きしたことをベースとして物語に仕立てたものです。
ただし、概ね実話で構成されていますが、差し障りのないように、舞台をみちのくに移し、背景も20年くらい前のものに直しました。よって作中の名称は、あらゆる意味で実在のものとはまったく関りありません。
 
私の入院した病院は、循環器科で有名だったので、毎日10~20回も救急車で患者が運ばれてきました。
患者の入れ替わりも激しく、ただ横になっているだけで、様々な出来事を見たり聞いたりしたものです。
心臓の病気は「ある日突然」発症することが多く、自分が病気であることを知った時には、この世とオサラバする時だってことも多々あります。
在院中は、毎日、お亡くなりになる方が数人出て、生命のはかなさを実感する日々でした。
 
実話の「タカオくん」は実際には30台の男性で、若干、知的障害を持つ人でした。
子どものような振る舞いで、傍目ではまるで小学生のように見えました。
そのままの姿で書けば、実話でもあり、説得力が増しただろうと思います。
しかし、「現実は小説よりも・・・」で、奇をてらい受けを取ろうとしたようにも読めるかもしれません。
半年くらい逡巡しましたが、自分の息子がタカオくんの心情に親しむことが出来るように、子どもの設定としました。
物語を迅速に書くコツは、「誰かのために書く」ことですが、その意味では、この物語は息子のために書いた作品です。
 
              盛岡タイムス 平成24年1月9日 連載冒頭
イメージ 1