日刊早坂ノボル新聞

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泣き女

金正日の死去のニュース報道で、嘆き悲しむ北朝鮮の人々が映し出されていました。
前列で泣き叫ぶ女性たちの姿を見て、日本のコメンテイターが言うには、「あれは本心から泣き叫んでいるわけではない」とのこと。
アホかいな。
あれは、「泣き女」ですよ。
中国や朝鮮半島では、ごく当たり前の風習で、葬式の際に故人の死を悲しむために、仕事として泣く役割の人たちでしょう。映画などにも時々出てきますが、日本の「文化人」なる方々は、その存在をまったく知らないわけですね。
 
この風習は、いわば「文化そのもの」で、理屈や上っ面のモラルで推し量るべき性質のものではありません。
北朝鮮を弁護するつもりはサラサラありませんが、無知にもとづく当て推量は「差別」を招く最大の要因なので、誰かが声を上げておく必要がありそうです。
 
日本では、「泣き女」の風習はあまり聞いたことがありませんが、40年くらい前の葬式では、僧侶や小僧さんとは別に、白い羽織のようなものを着た女性3人が葬列の前に立っていたことが記憶にあります。
女性たちは、泣き叫んだりはしませんでしたが、「南無阿弥陀仏」の声を率先して上げていました。
小学生の頃、幾度かその姿を見ましたが、その度にシェークスピアの悲劇に出てくる「三人の魔女」を思い出したことを覚えています。
 
他の国や民族に対する偏見や敵愾心は、多く文化的相違を背景に、互いに無知であることから生じるものです。
隣接諸国のニュース報道を見ていて、「日本のことを知らないで、自分の価値観でものを言っている」と感じることが多々ありますが、日本人の側だって同じようなものです。