朝、子どもたちを送り出した後、少し横になりました。
その時に観た夢です。
目を開くと、どこかショーウインドウの前で立っていた。
灯りが点いているが、人の姿は無い。
視線を横に向けると、長い通路が続いている。左右両側に商店が並んでいる。
アーケードなのかな。
道に沿って歩いてみる。
どの店にも灯りが点いているが、やはり人影は無い。
「客はともかく、店員までいない。皆、どこに行ったんだろ」
耳を澄ませてみると、遠くの方で何やら声がしていた。
「ここにいた人たちが外に出て行ったんだな。大慌ててどこに行ったんだろ」
ひと回り歩いて、様子を見ることにした。
すると、ここは商店街は商店街でも、大きなショッピングモールのよう。
たぶん、郊外型のショッピングセンターの中だ。
俺は何か用事があって、ここに来たはずなのに、それが何だったかを思い出せない。
歩いていると、頭がズキズキと痛んでくる。
「何だろ?」
手を頭に当ててみたら、額の上の方に傷が出来ていた。
「イテテテ」
手にはべっとりと血が付着していた。
なるほど。頭を強く打ったので、俺は直前の記憶を失くしたのだ。
自動販売機があったので、そこで冷えた感ジュースを買い、頭に当てた。
さらに歩いて行くと、銃砲店の前に出た。
「あ。ここだ」
俺の用事は、ここで武器を買うことだった。
「しかし、何でだろ」
ま、いいか。
銃砲店の中に入る。
やはり誰もいない。
誰もいないが、武器は貰って行かねば。
「申し訳ないけど、人がいないなら、黙って持って行きますよ」
今は緊急時だから仕方ないよな。
「でもその緊急の事態って、一体何だろ?」
とにかく俺は、その店で鹿を打つライフルと銃弾とをバッグに入れた。
拳銃もあれば良いんだけど、この国では狩猟用以外の武器は売っていない。
ダイナマイトとかもあればなあ。
銃砲店を出ると、どこか遠くの方から、地鳴りのような響きが聞こえて来る。
今度は遠ざかるのではなく、ここに向かって来ているようだ。
しかし、ショッピングセンターの中でにいては外の状況が分からない。
「じゃあ、屋上に行ってみっか」
屋上の駐車場に行けば、外もよく見えるだろ。
俺はエレベーターで屋上に向かった。
扉が開いた瞬間に、沢山の人々の歓声が聞こえる。
歓声と言うか、喚き声だった。
「ずいぶん沢山の人が出てるようだ」
早足で、屋上の縁に向かう。
声は下から聞こえて来る。
屋上の一角から、下を見降ろすと、喚き声の主たちが見えた。
何万人もの群衆だ。
「おい。何だよこれは」
よく見ると、ひとり1人は、とても口では言い表せないようなおどろおどろしい姿をしている。
「何だよ。こいつらは」
何せ場所がショッピングセンターだし、もしかしてゾンビ?
駐車場が化け物のような奴らで埋まっている。
なるほど。こいつらが来ることが分かったので、ここにいた人たちは大急ぎで逃げたのだ。
きっと俺も逃げようとしたのだが、転ぶか何かして頭を打ったというわけだ。
「あいつらに襲われたのならアウトだよな。こんなライフルくらいじゃあ、何の役にも立たない」
何せ、何万と言う数だ。
群衆のはるか向こうの方に、何かが光って見えている。
「あれは何だろ?」
目の上に手をかざして、その光を見極める。
それは、馬に跨った人間だった。
「いや。人間とは言えないよな」
そいつは明らかに、この群衆を指揮していた。
こいつが誰であれ、地獄の蓋を開き、亡者たちを外に出したのはこいつだろ。
「死」だったか、「戦争」だったか。
そんなことはどうでもよい。
確実なのは、黙示録が本物の予言だってことだ。
今これから、人類は終焉を迎えようとしているのだ。
ここで覚醒。