このところ、人の姿の「妄想を見る」と書きましたが、この謎が解けました。
一昨日の狭心症に続き、昨夜も危機が来たのです。
夕食の支度をした後、急に眠くなり、居間で2時間眠りました。
目が覚めると、手足が重くなっており、感覚がありません。
「だいぶ心臓が弱っているな」
不整脈も出ているし、まさに心肺機能が落ちている時の自覚症状です。
2階の自室に向かい、PC机に座りました。
メールをチェックしていたりしたのですが、部屋のドアが半開き。
程なく、誰かが廊下に立っている気配を感じます。
「娘たちのどっちかがトイレに行くのか」
顔を向けると、そこに立っていたのは八歳から十歳くらいの子どもでした。
「え」
ドキッとして立ち上がると、少年(男の子)は廊下の暗がりに姿を消しました。
「あれはもしかして、前に次女が言っていた男の子か?」
すると、すかさず頭の中で「違う」と自分自身が返事をしました。
幽霊なら、何か感情みたいな心の動きが伝わるはずですが、それがまったくありません。
まあ、怪談の類と違い、本物の幽霊は極めて無表情ですが、それにしても存在感がありません。
座り直して、数分後、全身が震え始めました。
心臓の調子が悪いこともあり、薬箱からニトロ錠剤を出しました。
しかし、微妙に前の日とは感覚が違います。
「これって、もしかして低血糖症では」
この辺、初期症状は心臓病と区別がつきません。
不味いことに、周囲にはブドウ糖がありませんでした。
階下に降りようとしますが、足がよろけうまく歩けません。
居間に入ると、テーブルの上にバナナが置いてあったので、すぐにそれを口にしました。
体にエネルギーが回り始めるまで数十分かかるので、血糖値を測ります。
「ウソ!」
数値は23ミリでした。
通常は110ミリくらいが普通の状態で、かなりお腹が空くと80とか70まで下がります。
この値は完全に低血糖状態ですね。
この辺から体が動かなくなり、10ミリくらいで脳が働かなくなります。
そのまま放置すれば脳が死んでしまいます。
胃壁から糖が吸収されるまで約20分で、そこから脳に回るまでさらに20分です。
タイムラグがありますので、そのまま気を失ってしまいました。
眼が醒めたのは、朝の4時です。
バナナは多糖類で、分解速度が違う炭水化物が含まれていますので、長時間エネルギーが持続します。
マラソンでバナナが置いてあるのはそういう理由です。
心臓の調子があまり良くないので、自然と食が細くなっていたものと考えられます。
そう言えば、晩御飯が稲荷寿司1個てな日が続いていました。
なるほどです。
低血糖症が数時間持続すると、脳死・脳出血の直接的危険があり、次に心筋梗塞を引き起こす場合があります。日常生活の中で、死はごく間近に存在していますね。
おそらく、この何日かの妄想は、あくまで妄想で、私自身が創り出したもの。
自分に対する警告なのだろうと思います。
どおりで、2人いました。
お婆さんは心臓担当で、男の子の方は低血糖症を受け持っているのでは。
とまあ、これは冗談です。
危機を自覚して気を付けるようにすれば、妄想は消えるはずです。
これが消えないようなら、その時は妄想ではなく別のものです。
人を殺すには、ナイフも鉄パイプも要りません。
インシュリンを20ミリも打てば、低血糖症を人為的に引き起こすことが出来ます。
発症は、脳か心臓で、脳の場合は医師が調べるはずですが、心筋梗塞ならそこで死因の解明は終わりです。
米国の犯罪小説にはこの殺害方法があったと思いますが、日本では聞いたことがありません。
小説のネタに使えるかも知れませんね。