かなり前に書きました。
概略はこう。
引越しをしようと、母と娘2人で下見に行った。
引っ越す当人は娘のほうで、母親は付き添いだ。
不動産屋に紹介されたマンションに行ってみると、都心で駅から近いのに、賃貸料金が破格の安さ。
通常の6掛けくらいしかない。
部屋を見て回ったが、何の問題もない。
「どうしてここがこんなに安いの?」
娘のほうは、すぐにそこに決めようとした。
ところが、母親は何となく嫌な気がした。
部屋の中がどんよりしており、重苦しいのだ。
とりわけ畳部屋の押入れの近くに行くと、胸騒ぎがする。
娘はその場でハンコを押そうという勢い。
母親は念のため、不動産屋を問い質した。
「ここって、もしかして・・・」
母親の直感は正しく、その部屋は事故物件だった。
男が妻を殺し、1週間の間押入れに隠していたのだ。
「そんな部屋。いくら安くとも駄目だよ」
母親が不動産屋にそう言うと、娘が口を挟んだ。
「え。私は平気だよ。そんなのどうってことない」
娘はその手のことをまったく信じない性質だった。
ここは都心の一等地だし、こんなチャンスはあまりない。
母親の反対を押し切って、娘はそこに入居した。
娘の言ったとおり、その部屋では何ひとつおかしなことは起きなかった。
これが前回書いた内容です。
ところが、これには後日談がありました。
4、5年後、娘は同じ部屋に暮らしていたが、ある日突然、急病で亡くなった。
倒れていたのは、あの畳部屋の押入れの前だった。
私は、基本的に娘の考え方が正しいように思います。
悪縁は、一切遮断していれば、何も起きません。
特別な「心霊スポット」など存在しません。この世のあらゆるところがそれです。
ところが、心境や境遇の変化により、繋がりが出来てしまうことがあります。
このケースがそうだとは言いませんが、何となく、「何かが起きたのではないか」と想像してしまいます。
ちょっと、解釈に困ってしまいます。
訂正)正確には、「4、5年後」ではなく「2年後」でした。