日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第518夜 砂浜の金貨

◎夢の話 第518夜 砂浜の金貨
3日の午前4時頃に観た夢です。

瞼を開くと、海が見える。
ここは砂浜で、オレは大きな岩の陰に寝そべっていた。
海は50メートルくらい先に見え、白波が繰り返し寄せている。
オレはリュックを枕にして、日陰で休んでいたのだった。

「ここはどこだろうな」
観たところ観光地ではなさそう。
何となく、島だという気がする。
30歳くらいの時に、フィリピンのマスバテ島に行ったことがあるが、あの感じによく似ている。
頭の下にゴツゴツした感触。
オレのリュックには何か硬いものが入っているようだ。
起き上がって、リュックの口を開く。
その中には、水筒と小さなシャベル、コンパスと何か分からない小さな機械、地図が入っていた。
喉が渇いていたので、水筒の蓋を開け、口につけた。
「うひゃ。酒じゃん」
余計に喉が渇くはずだが、まあ、その時はその時のこと。オレはごくごくとそれを飲んだ。

何気なく横の方を向くと、百メートル先に大きなテントが幾つも張ってある。
男たちが何やら忙しそうに働いていた。
重機らしきものまで数台見えていた。
「ここは何だろ」
こういう感じの場所で、オレが知っているのは、宝石の採石場だった。
山を崩して水で洗い、宝石を探し出す。
そんな感じの作業場だった。
「だが、ここは砂浜だ。砂浜で琥珀以外の宝石が採れることはないよな」
男たちがいるのは、岩場と砂浜の境目で、その境界付近を掘り返しているのだった。

オレはビニールシートに手をついて、半身を起こそうとした。
ところが、手をついた下が30センチくらいの深さの穴だったので、手がズボッと砂に沈んだ。
「あれ。オレはここの下を探っていたのか」
それでシャベルがあったんだ。
しかし、何だかこそこそとやっている気がするぞ。
シートをめくる。
オレが掘っていたのは、3メートル四方の岩の隙間に砂が埋まっていたところだった。
まあ上に砂が覆い被さっているから、そこが岩の隙間だってことは分かり難い。
「何を掘ろうとしていたんだろうな」
シャベルを持って、少し深く掘ってみる。
すると、40センチも行かないうちに、カチンと何か硬いものに突き当たった。
岩の感触ではなく、金属の音だった。
手を差し入れ、砂を掻き分けると、そこにあったのは大きなスペイン金貨だった。
念のためその周囲を探ると、驚いたことに下には箱のようなものがあり、ぎっしりと金貨が詰まっていた。
海水に洗われ、箱自体は腐っていたが、金貨はそのままだ。

「なるほど。オレを含め、皆がこの金貨を探していたわけだな」
どうやら、何か情報があり、宝探しの連中がここに押し寄せたのだ。
それが、あの遠くの岩場付近で、金持ちたちはそこを探している。
しかし、オレは別の解読の仕方をして、こっちに来た。
そんな展開だ。
「しかも、オレは単独で動いているんだな」
ここは重要だ。

作業現場の方から、ゆっくりと人が歩み寄ってくる。
監視員なのか、あるいは、現場を指揮する立場の者だろう。
オレは慌てて、穴を埋め、ビニールシートで覆った。
男が間近に迫る。
「よお、こんにちは」
「どうも」と会釈をする。
「君も宝探し?」
「いえ。オレはただの観光客です」
「そうだよな。何も道具を持って来ていないものな」
「何かあるんですか」
白々しいが、ひとまずトボける。これが人間の習性だ。
「スペインの沈没船が出たから、大掛かりに掘っているが、船の残骸の他には何も出ないね。ほとんどガセネタに近い」
「へえ。そんな話があったんですか」
「ここには十三世紀には明の、十六世紀にはスペインの港があったからね。海が浅くて、難破する船が沢山出た」
なるほど。船が難破して、やっとのことでこの海岸に流れ着いた。
積荷を下ろしたところで、また何か大きなトラブルがあったのだ。
だから、船と積荷は全然別のところにあったわけだ。
「三十人もかかって掘り返しているのにな。そろそろ撤退だな」
男はそうボヤくと、背中を見せて立ち去った。

「おいおい。首尾よくお宝を見つけたのは良いが、大変なのはこれからだぜ」
向こうの連中の顔を見渡すと、人相の悪いヤツばかりだった。
あいつらの目に留まらぬように、金貨を掘り返して、この地を離れなければならぬからだ。
それは、宝を探し当てることよりも難しいことだった。
ここで覚醒。

目が覚めて、思い浮かんだのは鉄火場(博打場)のことです。
高額レートの麻雀でも、かつての競馬場でもそうでしたが、勝負に勝つことよりも、「無事に家に帰る」ことの方が大変でした。
悪人が目を付けるのは、金を持っているヤツなので、最も危険なのがマンションなり競馬場なりを出る瞬間です。
卓やレースのことを語る勝負師など大したことはありません。勝負は所詮は勝ったり負けたりで、より大切なのは「その後の始末」になってます。