日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第356夜 人類の宝

つい先ほど、朝の5時頃に観ていた夢です。

オレは埋蔵品の発掘をやっている。
ここは中東で、場所が場所なので、早いうちに退去しなくてはならない。
しかし、借金がかさんでおり、債権者を納得させる必要にも迫られている。
これまではさしたる成果はない。
止めようと思うと、その時に限って金貨や金の装飾品が出る。
だがその程度では焼け石にションベンだ。

「何とかしないとな」
オレはテントの中で目覚め、そう口に出して言った。
まだ毛布の中だが、隣には発掘隊員の由香里がいる。
この子はオレの彼女だ。
そして、由香里の隣に寝ているのが、オレの彼氏のタカオだ。
そのタカオはオレの彼氏だが、由香里の奴隷だ。
由香里から見ると、オレが彼氏だが、自分はタカオの女王様になっている。

今はオレとタカオは由香里の両側に寝て、由香里の左右のおっぱいをそれぞれが揉んでいた。
ややこしい関係だが、オレたち3人が発掘を放棄せず、ここまで続けて来られたのは、この関係のおかげだった。
他にも20人くらいの隊員がいたが、作業がキツいのと成果が出ないことで、皆逃げて行った。

「まだ捜索していない岩があったよな。今日はあそこを確かめよう」
ほとんど探すべき場所は探しつくした後なので、今は絶望的だが、やるだけのことはやらねば。
起きて支度をし、3人でその岩の場所に行った。
「面倒くさいな。どうせ最後だし、爆破しちゃおうか」
岩の下を探すためには、岩が邪魔だ。
オレたちはついに短気を起こし、発破を掛けることにした。

ダイナマイトをどかんと爆発させると、岩が2つに割れた。
すると、その岩の中には空洞があった。
岩は砂岩なのだが、中をくりぬいてスペースを作り、後で蓋をしていたのだ。
そのスペースの中には、2短擁?らいの大きさの頑丈な箱が入っていた。

「ついにやりましたね」
タカオが大喜びをしている。
「ああ。ようやく出たな」
3人で箱を点検する。
箱には何やら文字が書いてあった。
「どういう意味かしら」
「古代アラム語だな。開けてはいけない、と書いてある」
これにタカオが爆笑した。
「お宝を仕舞うのに、開けてはいけない、は無いでしょう」
「それもそうだ」

やや乱暴だが、オレはバールを使って、すぐにその箱を開けた。
中には、もう1つ箱が入っていた。
「箱の次には、また箱か」
「先生。また何か書いてありますよ」
再び、その文字を読んでみる。
「開くな。中には、人類の本質であり、最大の宝が入っている」
オレたちはここで首をひねった。
「人類の本質である宝って何だろ?」

タカオが朗らかに笑う。
「人間の幸わせは、だいたいは欲望の内容で決められます。お金があれば大概の欲が満たされるのだから、すなわち、この中は金銀財宝が入っているのに間違いありません」
これに由香里が反論した。
「玉手箱だって、パンドラの箱だって、中身はろくなものじゃなかったわよ。何か良くない物なのよ」
微妙なところだ。
「開けるなと言われれば、人は必ず開ける。それこそ玉手箱が示した通りだ。本当に開けて欲しくないのなら渡さない筈だ。実際は『開けろ』という誘い文句で、しかも中にはあまり良く無い物が入っているという線だろうな」
「でも先生。僕らはもう首が回らない。借金が2億円で、掘り出せたのはわずか3千万程度です。何か出して見せないことには、逃げる算段も出来ません」
それもそうだ。
事態は切迫しているのだ。
「しかし、ま、ここで一旦頭を冷やして、明日の朝に決めることにしよう」

ところが、その夜のこと。
タカオがテントを抜け出して、あの岩の所に行った。
オレはすぐにそれに気づき、由香里と2人でタカオを追い駆けた。
岩に着くと、タカオはちょうど箱の蓋を持ち上げたところだった。
「おい。開けちゃったのか」
箱に駆け寄る。

3人で中を覗き込むと、箱の中には1冊の書物が入っていた。
表紙には「天界からの贈り物」と書いてある。
タカオが呟く。
「なるほど、人類の宝とは知恵のことだ。人は知恵を活用することで幸せになれるが、使い方を間違えれば不幸になる」
「やっぱりパンドラの箱なのね」
だが、オレは納得できなかった。
「どうもおかしいな。簡単すぎる」
小学生向けの童話じゃあるまいし、そんな調子の良い話があるものか。

パラパラと書物をめくってみた。
すると、中身は全部呪文の類だった。
「イー・アラサーマ・カンダレード・・・・」
すると、声を上げて読んだ瞬間に、書物の文字が頁から浮き上がって動き出した。
1行ずつが1匹の虫のように、勝手に飛び出たのだ。
「うわあ。まるでムカデだ」
虫たちは、書物から飛び出ると、四方八方に散らばった。

「どうやら、性質の悪い毒虫をこの世に放ったみたいだぞ」
オレは思わず呟いた。
「やはり、人間の本質は悪だったか」
いずれ程なく、世界中で大殺戮が起きることだろう。
文明を発展させたのは「欲望」だが、その「欲望」は「悪意」と双子の関係にある。

しかし、もうそれを止めることも、見届けることも出来なくなっている。
オレたち3人は、皆、あの毒虫によって肝臓を食い破られていた。

ここで覚醒。