日刊早坂ノボル新聞

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◎赤い薩摩天保

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赤い薩摩天保

◎赤い薩摩天保

 三月の売れ残りの薩摩銭の袋を持ち上げると、妙に直感が働いた。

 こういう時は「私を見てください」みたいに言われているような気がする。

 そこで袋を開くと、すぐに目についたのがこの一枚。

 「随分と赤いよな」

 ま、本銭でも赤い品はある。

 どこのどういう銭種でも、表面色にはバラエティがある。

 昔、九州の某氏宅を訪問した折に、「福岡離郭」という銭種を「木箱ひとつ分」所有されているのを見せて頂いたことがある。凡そ八百枚から一千五百枚の間で、総てこの銭種だった(ビックリ)。

 この銭種は概ね黄色系のものだと思っていたが、しかし、真っ白な品があり、真っ赤な品がありと、金色は様々だった。

 ま、それもそうで、いわゆる南部銭でも、「南部銭は赤い」というイメージに対し、黄色いものあり白っぽいものありと、多少違うものが混じっている。

 

 赤い薩摩錢だって普通にある品だと思うわけが、何気なく輪側を見ると、極印が落ちていた。痕跡のようなものがあるのかとも思ったが、鋳不足のよう。

 それなら話が少々違って来る。

 ウブ銭から出した時に気が付いていたようで、取り置き箱に放り込んでいたのを、「薩摩銭だけ」まとめた時に取り出したようだ。

 彫りが深いから、まだ本銭系かという見方を捨てきれないのだが、極印落ちならもはや「一千円」ではないと思う。

 

 長らく暗所に放り込んでいたので、表面色の変化が少なく、スキャナで撮影すると角が光る。サイド机に置いているうちに赤味が増して来たので、しばらく空気に晒して置けば、いっそう古色が出ると思われる。

 おそらくさらに赤黒くなると見ている。