日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第270夜 狩猟

今日は息子の高校で三者面談があります。
準備をし終わり、予定表を見たら、午前でなく午後になっていました。
もう一度、服を着替え、長椅子に座ったところで居眠りをしました。
これはその時に観た夢です。

我に返ると、俺は峡谷の中にいた。
大岩の後ろに隠れて、谷の底のほうを見張っていた。
手には大ぶりの猟銃を持っている。
「あれ?鹿か熊でも撃つんだっけ」

いいや違った。
俺が狙っているのは別の獲物だ。
俺は豚人間を撃つつもりなのだ。

「豚人間」とは、人間の体に豚の脳髄を持つ生き物だ。
もちろん、自然界にそんな生き物が存在する筈も無く、人間が創り出したものだ。
臓器移植を目的として、創造された新生物だ。

人間と豚とは、遺伝子の構造がかなり近い。
そこで、臓器を豚で培養し、人間に移殖することが試された。
これはかなりの精度で上手く行くことが実証された。
そこで、次に行われたのが、「人間豚」の生産だった。
豚に人間の遺伝子を注入し、人間と豚の合いの子のような生きものを作ったのだ。
この人間豚は大成功し、心臓と腎臓を中心に、スペアが大量生産されることになった。

ところが、「人間豚」は人間の遺伝子を持つ「豚」なので、従来は豚のみに繁殖したウイルスが人間豚を経由して人間にも伝染するようになった。
すなわち、人間豚がウイルスの橋渡しの役目を果たしたのだ。
25年前に豚インフルエンザが流行した時には、世界中で600万人がこれで死んだ。

その経験を基に、最近始められたのが「豚人間」だった。
豚人間は人間に豚の遺伝子を組み込んだので、基本的には人間だ。
それなので、ある程度、豚からのウイルスの感染を留めておくことが出来る。
問題は倫理的なことで、同じ人間を臓器移植のために使用することが許されるのか、ということだった。
これを解決したのは、チョウ博士だった。
チョウ博士は、無脳症で死ぬはずだった人間の胎児に、豚の脳の遺伝子を組み込んだ。

そのままなら100%死んでいた胎児に、豚の脳から培養した細胞を移植したので、出発点は死体と同じだ。
要するに、フランケンシュタインの怪物やゾンビと同じで、どのように扱おうと、比較的心が痛まない。

研究所で最初の30人が作られ、その体で培養された臓器で、世界的な要人や金持ちの幾人かの命が助かった。
その次に試されたのが百人だが、この百人は今、17歳になっている。
完全に管理されていたはずの豚人間だが、数か月前に大地震が起き、研究所の建物が倒壊した。
そのどさくさで、12人の豚人間が逃げ出した。
研究所の完全無菌室から外に出て、何人かは死んだが、生き残った者もいる。
人間並みの知能は無いが、動物としての本能はあるので、自然界に放たれれば、いずれ適応し、人間に感染するウイルスを繁殖させるかもしれない。

こういう訳で俺のようなハンターが動員されたのだ。
俺たちは、豚人間を「見つけ次第に撃ち殺せ」と言われている。
1頭殺せば、3千万円の報酬が貰えるから、参加しない奴はいない。

とまあ、これまでのことを考えていると、谷川の辺で動くものがあった。
「いたか。豚人間」
俺は銃を構えて、銃眼を覗いた。
すると、水辺に姿を現したのは、野生の鹿だった。

「なあんだ」
ほっとして、銃を下ろした。
もう一度、岩に背中を向け、前に向き直る。

すると、オレの目の前に、裸の女が立っていた。
俺は心底驚いた。
聞くと見るとは大違いで、豚人間の姿かたちは、ごく普通の人間と同じだった。
人間なら高校生くらいだろう。

素っ裸の若い女は、俺と視線を合わせると、ぴたっと動きを止めた。
熊と同じで、本能のなせる業だ。
俺はゆっくりと銃を取り上げ、目の前の女に向けた。

人間の若い女なら、かなりの美人だ。
しかし、脳髄が豚で、獣ほどの思考能力しかないのだ。
俺は自分にそう言い聞かせ、引き金に指を掛けた。

すると、それを見た女が、突然、言葉を発した。
「たすけて・・・」
俺は驚いて、すぐに指を離した。
「おい。お前は豚人間だろ。なぜ言葉が話せる?」
女が再び口を開く。
「ワタシは人間です。ケモノじゃない」

こいつは本当にフランケンシュタインだった。
知能の無い生き物の筈が、自分で物を考えることが出来るのだ。
ここで初めて、俺は政府や金持ち連中に騙されていることに気付いた。

ここで省略。

息子の学校に出かける時間になりました。
この先は途切れ途切れになっていましたが、なかなか面白そうな夢です。
きちんとまとめれば、それなりに読めるストーリーにはなりそうです。