日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第445夜 定食屋で

夢の話 第445夜 定食屋で
 木曜の夕食後に仮眠を取ったのですが、その時に観た夢です。

 父と2人で道を歩いている。
 「たぶん黒豆の営業だな。前は問屋さんに営業に回ったもんだっけ」
 昭和40年代には、おせちの黒豆にするため、父は大量の黒豆を出荷していた。
 東京から業者さんが何人も来て、「うちと取引をしてくれ」と懇願されたものだった。
 ところが、次第に食文化が変わり、黒豆が食べられなくなった。
 50年代には、販路を求めて、こちらがサンプルを持参して問屋を回る番になったおだ。
 父とオレは問屋街を歩いては、飛び込みで豆問屋に入った。
 一日中、そうやって歩くものだから、足の裏に豆が出来た。

「腹が減ったべ。そろそろ飯でも食おう」
 父の言葉にオレは頷いた。
「すぐ近くに、昔から通っている店があるから、そこに行こう」
 ほんの数十辰任修療垢料阿肪紊。
 古い店だ。戦前から建っていたような佇まいだ。
 バーサンの女給が出てきそう。
 店の中に入り、木のテーブルを囲んで座る。
 すると、エプロンを掛けた女給が出て来る。
 さっきイメージしたのと、ピッタリ同じ初老の女性だった。
 オレはそれがおかしくて、顔を背けてくつくつと笑った。

「ここは鮭カマ定食が美味いんだよ」
 魚屋の父が言うなら、実際美味いんだろ。
「じゃあ、オレも同じのを」

 程なく、定食が出て来る。
 鮭の頭とご飯に味噌汁の組み合わせだった。
 ひと口味わってみる。
「なるほど。こりゃ美味い」
父が解説する。
「ごく新鮮でなければ、こういう味にはならない。まだ生きている鮭を絞めて、塩水に浸ける。塩加減と浸けて置く時間に熟練が要るな。ただの鮭だと思うなよ。手を余分に掛けないと、こういう味にはならない」
 一見、ごく当たり前い見えるものをぼーっと受け止めるだけでなく、その物が持つ最高の能力を引き出せよな。
 父がオレにこれを食わせる意図はそれだろ。

 でも、もはや塩をこんなに使っているメシを食ったらまずいよな。
「親父。半分にしとけば。親父もオレも塩分の多いのはダメだろ。これを食ったら、血圧が酷いことになるよ」
 父が笑いながら、「そうかあ?」と呟く。

 ここで覚醒。
 しばらく父に会っていません。父も老境なので、年に一度は会いに行きたいのですが、今はこちらの方がヤバい状況になってます(苦笑)。