日刊早坂ノボル新聞

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◎正しい「山賊」手法

◎正しい「山賊」手法

 どこかの県の県議に立候補するのに、「地域政党 日本維新の会」を立ち上げて、当選した人がいた。本来の「維新の会」の立候補者が4人くらい居て、1人は落選したらしい。
 「やり方が汚い」という主旨で、その当選した当人に取材が殺到していた。

 ところが、きちんと地域政党として届出を出しているし、受理もされている。
 本人は堂々と、「こうすれば批判が集まり、逆に着目されると考えた」と答えた。
 総てが「作戦のうち」だったということだ。

 きちんと受理されているのだから、まったく落ち度はない。
 その意味で道義的にどうかと問われることはあっても、それ以上のそしりは受けない。
 絵図の通り、県知事松井代表や橋下氏がわざわざコメントを出す始末だ。
 この人は、何ら組織の後援を受けず、自身の考えを県政に反映させるために出馬した。
 こういうパターンでは、「政治家になりたい」「偉くなりたい」という気持ちからではないことが多い。そういう人は、先に政党の公認や推薦を貰うことを考える。
 そこを、まったくの個人として無手勝流に進めて、当選を勝ち取るには、かなりきわどい作戦を立てねば、絶対に当選できないと考えた。
 ここで、本人は、「選挙はあくまで手段だ。議員として政策に正しく反映させれば、何ら問題はない」と信じ込んだ。ま、それが第一段階で、詐欺師もまったく同じ思考法をする。
 「ただの個人」が執る戦法としては、仕方がないし、悪くもない。

 もちろん、こういう手段だけでは当選出来ない。
 過去1年以上に渡り、辻説法をしたり、地域集会に顔を出したり、を心掛けていたはずだ。少なくとも300回から、多ければ600回くらいの演説をしないと知名度は上がらない。
 準備の周到さから見て、ここも抜かりなくやっていると思う。

 情けないのは「維新」本隊だ。
 「あの男の卑怯な方法で、自分たちの候補が落選した」といわんばかりの対応をしている。
 そんなので当選出来るほど地域政治は甘くないし、自分たちには組織基盤があるから、それを通じて周知できた筈だ。要するに、努力不足をこの当人のせいにしている。
 党首・代表がのこのこ出て来て、批判しているようでは、「大丈夫なのか」と心配してしまう。
 まるっきり、あの男の思う壺じゃないか。
 ここは「俺たちがいるから、余波に乗れる人もいる。しっかりやってくれ」と笑って受け流せよな。
 中央にも地方にも、政治家には視野の狭い近視眼的な思考をする者が多い。本当に多い。
 それでは「こんな人たち」の図面どおりに物事が運ぶ。

 しかし、いざ当選してからは、議員としての活動が問われる。
 その意味で、ひと一倍努力するだろうから、県政にとっては、良い面に出ることもある。
 ま、今後の活動次第ということだ。

 個人的には、たった一人の「山賊」が大勢の侍(自称だが)を「煙に巻いた」ところは嫌いではない。
 「ヤマ師」「詐欺師」と叫ばれれば叫ばれるほど、痛快な気分に浸れる。
 この人は「何が自民(維新、民進、公明でも何でも可)党だよ」と、気持ちよくビールを飲んでいることだろう。