日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎日々の小さい出来事

◎日々の小さい出来事

 つい先ほどの出来事です。
 妻子を駅に送り、家に戻ると、すぐに居眠りをしました。
 夢は無く、じっと暗闇の中にいたのですが、突然、「ジリジリ」と警報が鳴りました。
 驚いて目を覚ましたのですが、別段何も無く、時計は十時を指していました。
 「なるほど。潜在意識のスイッチが入ったか」
 遅くとも十二時までの間にDVDを返却しなくてはならないので、潜在意識が「目覚めろ」と告げたわけです。
 「こりゃすごい。8年ぶりではないか」
 健康な人で会社に勤めていれば、日常的に起きることですが、病人には起きません。
 少し状態が良くなった、という意味です。

 そこで、レンタル店に行き、そのついでにスタンドでガソリンを入れようとしたのです。
 すると、燃料注入口の蓋が開きません。
 残量はほぼゼロなので、慌てて代理店に向かいました。
 代理店は当家のすぐ近所で、歩いて行ける位置です。

 「では少しお待ち下さい」
 接客フロアに案内され、そこでコーヒーを飲みました。
 そこで工場の方を眺めていると、皆知った顔です。
 十五年くらい前から幾度も寄っていますが、最初にいた従業員がそのまま今も働いていました。
 あの時30歳くらいだった人も、まだ30台くらいの顔をして動いています。
 「もう45くらいなのに。痩せているし、髪がふさふさだ」
 適度に運動しているからなのか。
 同じ職場に、同じ仲間。たぶん、精神状態が安定することでしょう。
 私の場合は自分の会社が20年でこれが最長。研究所や大学への勤務はそれぞれ5年以下です。大半が「従業員にどうやってボーナスを出すか」を思案していたわけです(苦笑)。
 
 15分くらいで、修理が終わり、従業員が来ました。
 「車はエンジンや外装に手を入れたばかりですが、細かいところも古くなっているわけですね」
 そう口を向けると、「年数が経つとここそこにこういう異常が出る」と丁寧に説明してくれました。
 「そうですか。そうなると、やはり愛着があっても、そろそろ買い換えが必要なわけですね。息子の大学進学が終わったら相談に来ます」
 何せ、息子が国立系に行けず私立に行くことになったら、理工系は6年分の学費が掛かります。母校なら、学費だけで6年で1千万超です。
 
 「ま、四月ですね」
 車に乗り、ドアを閉めたところで、独りで感動しました。
 「ついに、半年先のことを算段するところまで来たか」
 いつも「程なく人生の終わり」だと意識しているので、とかくカリカリしがちなわけですが、それが治まり、将来を受け入れているわけです。
 放置すれば「十日で終わる」状態は変わりませんが、「もってあと1年」の医師の言葉は深刻に考えなくともよいところまで戻ったと思います。

 ここに至る恩人は三人いて、そのうちの一人は叔父です。生前の叔父は顔を見る度に「病気の話」をするので、正直、ウンザリしていたのですが、それが耳に残っており、心筋梗塞を発症した時に、苦しくなる前に救急病院に行けました。
 苦しくなってからだと半数が死にます。

 二人目は担当医。たまたま近くに心臓の専門病院があり、そこの中心医師でした。
 今聞くと、当時は冠状動脈が同時に全部詰まっていたので、「かなり難しかった」とのこと。

 あとは精神状態を持たせてくれた神社猫のトラですねえ。
 野良猫が鳥居の前で待っており、神殿下まで誘導してくれた時の驚きは、今も鮮明です。
 
 「明日がある」を信じられるようになると、精神状態が良くなります。
 関心が幅広く拡大するのも、この兆候だろうと思います。