日刊早坂ノボル新聞

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◎夫婦問答 蘊蓄合戦 9/4 「一千億の差額の裏側」

夫婦問答 蘊蓄合戦 9/4 「一千億の裏側」

 四日に家人を駅まで送った時の車中での会話(非公開SNSからの再録)。

 セブンアンドアイはそごう西武を二千億で米国の投資会社に売り、その投資会社はそのまま一年後にヨドバシカメラに三千億で売る。

 経営に参画するわけではなく、縦のものを横にすることで一千億の「見かけの利益」を手にする。

 家人曰く、「それならセブンアンドアイが直接、ヨドバシに売れば、一千億丸儲けじゃないの」。

 同じことをネット界の「ひろゆき」と言う人が言っていたが、経営のことをまるで知らない人だと思う。この人は何かと強弁し、それを論破などと言うが、基本的な知識が欠如していることがよくある。もはやナンセンスの域だ。

 

 ま、前提として、セブンアンドアイから見れば、負債が二千億弱あり、売却は負債を肩代わりするだけになり、要は損切り。全部の資産を売却しても、負債の方が多くならないよう、早めに整理する。要は今年も相当額の赤字が出る見込みだ。

 セブンアンドアイの中でそごう西武担当の重役・管理職がいたはずだが、たぶん、全員左遷で降格になる。あるいはすでになっているから、経営への執着は既に無い。

 だが、税金やその他の損益を相殺すると、「一旦、海外資本に売って、買い戻した方が直接売買するよりも有利な点が生じる」ということだ。(当事者の方が損得を必死で計算している。)

 だから資金調達に難が無い米国資本を媒介に売却する。

 取締役会では、ほんの数十分で決議したところを見ると、セブンアンドアイには「損切り」だけでない、プラスアルファの利点があるようだ。

 ま、経営母体が切り替わると、そごう西武のブランドが無くなるかもしれんし、その時には、従業員を大量整理する・出来る。

 間に米国資本が入る時には、問答無用でクビを切るだろうが、これはヨドバシでは出来ない。

 米国資本に移ってから、「反対」ストをやっても仕方が無いわけだが、直接、ヨドバシに売れば、たぶんその後も騒ぎに騒ぐ。

 「一年後に再売却」の意味は、この辺ではないか。

 ちなみに、テレビでは西武そごうと言っていたが、実際の社名は「そごう西武」のよう。従業員は四千五百人。

 仮に平均給与を六百万として、総額二百七十億。八百万として三百六十億。三割のクビを切るだけで百億の金が浮く。

 不動産は、残すものだけ残し、あとは整理すれば、一千億くらいは売れる。

 いずれにせよ、そごう西武はこれから大リストラが待っている。

 

追記)採算の取れる見込みのある数店舗を残し、大半を閉店し、既存の社員はリストラしたい。このための「スムーズな移行」のために、米国資本を間に挟み、一年間の猶予期間を設ける。米国資本の傘下でいるうちに、ばっさばっさとクビを切る。

 ニッサンルノー傘下に入った時に、ゴーンが社長で送り込まれて、最初にやったことがそれ。

 従業員の多くは去らざるを得なかったが、会社全体としての収支は改善した。

 そごう西武の従業員が考えることは、「会社譲渡反対のスト」ではない。業績をどうやって好転させるかを自分たちなりに考え、経営改善のための提案書を会社に渡すことだ。

 「実質的には、倒産寸前」だと思った方が良い。ストは逆効果で、さらに業績を下げる。 

 

 倒産寸殿の状態で、なおかつ今年の業績で、ついに負債の方が資産を上回る。

セブンアンドアイが急いで売りに回っている感があるのは、モチベーションを下げぬことと、他の系列からそごう西武による赤字を補填するのを嫌った、ということだと思う。