日刊早坂ノボル新聞

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◎<古貨幣迷宮事件簿> 水戸接郭の南部写し

 

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水戸接郭の南部写し

◎<古貨幣迷宮事件簿>水戸接郭の南部写し

 盛岡藩では、鋳銭開始の当初に、砂づくりが上手く行かず、水戸藩に指南を請うた。

 水戸小梅藩邸に使者数名を送ったのだが、その折に鋳砂と母銭を持ち帰った。

 このため、盛岡藩の貨幣・絵銭には、水戸藩のそれを踏襲した品が多々ある。

 すぐに思いつくのが、寛永当四銭仰宝であり、大黒銭、虎銭である。

 当百銭でも、水戸短足宝などは、正規母銭から作成したと思われる品(南部銭)が存在している。

 そのせいで、雑銭からこれを見つけた時には、少なからずドキッとした。

 各所で変化しているが、元は水戸接郭と言われる銭種に近似していたからである。

 もし接郭の「南部銭」であれば、短足宝以上の希少品である。

 

 しかし、製作を見る限り、栗林や浄法寺山内の藩鋳銭とは思えず、「南部銭」ではないようだ。要するに「南部写し」ではないかと思う。鋳所不明(不知)品としての、「水戸接郭の南部写し」ということである。

 裏の金色などは、南部銭そのもので好感がもてるが、同時に「これがもう少しきれいに抜けていたら」と溜息が出る。

 しかし、刔輪等の変化もあり、いずれ「化ける」可能性もある。刔輪が接郭段階のものか、写しの段階のものかは現状では判断がつかない。

 

 なお3月期の処分品は15日に入札を開示し、20日前後を〆切りとする予定です。

 世情を反映し、かなり下の価格でスタートする予定ですので、買い頃になると思います。13日頃から「古貨幣迷宮事件簿」を参照してください。