◎小さい大頭通
これも「取り置き箱」に放り込んでいた品だ。
一見して、「明和の小さいヤツ」に見える。ただ、26ミリ台だから、明和の標準銭径からすると、異様に小さい。
隣に標準サイズのものを置くと、違いが歴然となる。
ちなみに、冒頭の画像で隣に置いたのは、白銅質の大頭通だ。明和の母銭の金質には、錫を加え白味を強くしたものがあるが、その配合に似ている。空気にさらしたまま放置しても、いわゆる「青銭」にはならず白いままでいる。
ま、金替りはどの銭種にもあり、明和にも文政のような赤いものがある。
近縁種を並べてみると、左側より普通サイズの正字と、小型で薄い正字、当品、普通サイズの大頭通の順となる。
大頭通の二枚は背波の形状が違うので、型が複数あるのか、あるいは「明和に似ているが、明和ではない」品のいずれかだろう。
念のため、輪側を確認してみると、摩耗のため、線条痕(鑢痕)が鮮明ではなかった。強いて言えば、「斜め」なのだが、もしそれなら、「明和ではない」ということになる。
しかし、全体的にはやはり明和で、その中の「かなりの小様」という見方が妥当だろうと思う。