◎七月の品評(続き)
S24 寛永銭三種組
24-1 称浄法寺仰宝 鋳放
今は先輩が詳しく教えてくれるが、昭和の末から平成初頭はまったく詳細が分からず、雲を掴む話だった。
この仰宝鋳放は、一万三四千円で買った人が多いと思う。
後続組だが、あらゆる意味で証拠がない。
24-2 密鋳俯永 改造
密鋳銭の輪をゴザスレ状に研磨したもの。当地のゴザスレ加工は、「母銭を取り出しやすくしたもの」では到底なく、「材料を節約するため」である。
なお本銭系だが、栗林座では当初橋野高炉より鉄を買い入れていたため、材料を節約するために裏面をゴザスレ状に研磨した。多く仰宝大字の母銭に観られるのだが、そのことでその銭種が初期に採用された銭種であることが分かる。
栗林座では、じきに自前で高炉を持つようになったので、橋野に注文しなくなった。
そこで今度は橋野高炉で、寛永銭を鋳造するようになった。商売敵になり、もちろん、交流は少ない。そこで橋野では背盛、仰宝の原母から作り直した。
仕様が異なるのはそのせいであるが、現存品の特徴や分布に一致する話だ。
24-3 密鋳銭
湯口が欠けており、オマケである。
S25 離用通 各種5枚組
明和・文政の離用通5枚組。文政離用通の方が若干存在数が多い。
一見して文政の焼けた品に見えるが、背波が引っ掛かるので取り置いた。
輪側は縦系統だが若干斜め方向に線条痕が入っている。
当たれば密鋳銭で、評価が十倍になりそうだが、何とも言えない。
状態もイマイチなので、評価外のオマケとした。
S26 我楽多寛永銭
取り置き箱に入っていたガラクタで、「ほんの少し気になる」4品になる。
26-1 密鋳か明和末鋳
小様で見すぼらしいのだが、明和色。書体に変化が生じているので、おそらく密鋳の方。
地金のそっくりな写しが無いわけではない。
26-2 小さい明和大頭通
見すぼらしいが明和の内だろう。銭径が著しく小さいので資料として面白い。
またもノギスが手元から消え、計測出来ないので、隣に普通の明和サイズの同銭種を置いてみた。
26-3 不揃いの削波
背波の一部を削っており、割とはっきりしているが不揃い。
26-4 両面鋳浚い
一文銭の谷を擦って平坦にしたもの。輪は少々ゴザスレ状に削ってある。
常識的には「鉄銭作成用の改造母」だが、北奥地方では、こういうのは気を付ける必要がある。
手が空いた時に作業するので、ぎりぎりまで掲示を続けることにした。
現状ではなかなか手が回らない。