◎何故に「1万ドル」ずつなのか
4600万のご送金略取事件の送金履歴では、「1万ドル相当」を決済会社宛に複数回送っている。
一度に送れば簡便なのに、何故わざわざ「1万ドル相当」ずつを繰り返したのか。
不自然な流れの理由は、「換金」を想定したものということだ。
米国のカジノ決済(対面)では、「換金額が1万ドルを超えると課税される」という決まりがある。
今回の操作の流れはこう。
1)若者が決済会社を通じ、ネットカジノ業者の専用口座に1万ドルを送金する。
2)その口座の現金を丸ごと引き出す。ネットなので、IDとPWが正確であれば、本人の指定する口座に送金できる。
3)米国の場合、口座の金が1万ドルを超えると課税されてしまうから、必ずそれ以下、すなわち9999ドル以下の金額で設定する。細かい手続きが不要なように口座の金全額を引き出す。
4)引き出しは別の者が米国で行う。口座は新設したもので、引き出しが全部終われば閉鎖する。これなら追跡は難しい。
これはもちろん、若者一人では出来ぬので、協力者がいる。ま、簡単に言えばヤクザ案件で、この手の金融操作は簡単にできる。
「1万ドル送金」の大半がこれで、他の「400万」「500万」は理屈が分かっていない者、すなわち若者本人がした、ということだ。
「カジノで負けたので払えぬ」→「分割返済で少しずつ返す」という流れは、早期の示談を求めてのものだ。民事上の示談が成立していれば、幾らか刑期が軽くなる。
刑期を終え出所したら、すぐにフケる(逃げる)。で、「金の多くが手に入る」と本人は思っている。
ま、この証拠を掴めると、単に「出来心で行った」ものではなく、明確に詐欺事件ということ。
仮にこの作戦が成功しても、実際は若者にはさしたる金が残らない。
米国で引き出した者が、我がものにしてしまうからだ。
この辺は、幾ら背伸びをしても「大人の算段」を理解していなかったと見える。
メディアを含め、世の中には「カジノで使い切りました」という嘘を信じる者もいる。
ま、「佐川氏忖度案件」と同様に、目出度い者が多いということだ。
「何故1万ドルずつ小分けにして送ったのか」への答えは「課税で減らされることと、そこから足が付くのを避けるため」ということだ。
つい出来心で「遣ってしまった」のとはわけが違う。
この案件で、仮に役場が若者と示談したり、情状酌量が認められるようなことがあれば、この後は全国自治体で億円単位の誤送金が発生することになるから、警察検察はどんな手を使っても若者を有罪・実刑にしようとする。
ま、実際は金融ヤクザ案件だと思う。
以上はもちろん、憶測だが、誰も「1万ドルずつ送金」が「仕掛け」だと思わぬようなので、敢えて記した。