家人が旅行に行ってしまい、家には私1人です。
広い家で、居間だけで60畳くらいの広さがあります。天井も高く、2階くらいの高さ。
いちいち移動するのが面倒なので、大半を居間で過ごしています。
居間のテーブルの片側で仕事をし、反対側で食事をする。寝るのはソファといった按配です。
パンツ一丁でソファに座っていると、勝手口がガタガタを音がして、ドアが開きました。
中に入ってきたのは、隣家のオバサンで、私の顔を見ると、すまなそうに頭を少し下げます。
「すいません。近道だから」
近道だから、だあ?
「ここ。ウチの家の中ですよ」
「少し強く押すと、このドアは開くのよね。ほら」
実際にドアを開けて見せます。確かに鍵を掛けていても開くようです。
「だからと言って、勝手に他人の家に上がりこんでもらっては困ります」
「前に住んでた人も通らせてもらっていたと言っていました。この通り道だとものすごく近いんですよ」
なんかムカツクなあ。だんだん腹が立ってきます。
この私の表情を見て、オバサンは手に持っていた籠からなにやら取り出しました。
「おわびにこれをさしあげます」
差し出されたものは、なんと子猫。
「アレルギーだから、動物はだめなんだよね」
その答えに、オバサンは首を振ります。
「これはペット用じゃなくて食用ですよ。唐揚げにすると美味いから食べてみて」
うへえ。猫の唐揚げですか。気色悪いなあ。
「もういいから帰ってくれませんか」
オバサンは愛想笑いを浮かべて、そそくさと出て行きます。
今日の夢は気持ち悪いなあ。
居間の窓から外を眺めると、昼だというのに空が真っ赤です。遠くでは雷がゴロゴロ鳴っているようです。
「ここはどんな世界なんだろ」
思わず独り言を呟いていました。
ここで覚醒。