日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第110夜 告知

女医は検査結果をじっと眺めている。
長いなあ。どうしたんだろ。

ここは病院。両腕全体に理由の分からない発疹が出たので、町一番の病院を訪れたのだ。
担当医は30歳を少し越えたくらいの女医である。
テレビに出てるタレントもどきのナントカという女医に似てるなあ。

「○○さん」
「は?」
しばらくボケッとしていたので少し驚く。
「今まで体がだるいとか、傷が治りにくいとか、そんな症状を感じたことはなかったですか?」
「生活が不規則ですから、いつもだるいですよ。大酒飲みなので、傷も治りにくいですし」
「・・・」
女医はもう一度検査結果を見ている。

「○○さん」
ようやくこちらに眼を向けた。
「○○さん。検査を2度行って確認しましたが、貴方はトリ※☆▲×・タ□△ナ☆ドトスに感染しています。既に第3期の初めで、発病段階です」
「え?」
「トリ・・・」て、確かHIV鳥インフルエンザの親戚のような病気ではなかったっけ。
「とり」で始まる病名なので、憶えていた。しかしもちろんこの夢の中だけの病気である。

「もっと早く病院に来れば、今は特効薬がありますから、発病は抑えられたんですよ。何か感染経路に記憶がありますか?」
これって、HIVと同じで、血液が混じらなければ感染しない病気だったのではないか。
注射針とか、激しいセックスとか。

あちこち成人病が始まっているから、注射や採血は毎月10本以上だな。
性交渉だって、10年、20年と振り返れば、ネタは様々思い当たる。
あの金髪か。あるいは・・・。
交渉のあった女たちの顔が思い浮かぶ。
なにせ俺は「飲む・打つ・買う」の三拍子男だったし。

「発病したら、もう長くは生きられないのでしょ?あとどれくらい?」
「抵抗力は人それぞれです」
「でも1年はもたないのでしょ」
「・・・」
「いくつかやっておくことがありますので、はっきり言ってください」
「3ヶ月ですね。早い人は1ヶ月だったり、半年もつ人もいます。あるいはそれ以上の人も」
末期癌より、いくらか時間はあるわけか。
しかし、この病気は全身に発疹が出て、ただれたようになるらしい。
自然の中でひっそりと死ぬというわけにはいかんだろうな。
身寄りがいなくて良かったというか、良くなかったというか。

病の宣告はあまりショックではなかった。
やりたい放題の人生だったし、「いつかこうなるかも」と心のどこかで考えていたのだ。
大体、他の病気だって、あるいは今現在は病気に罹っていなくとも、人は必ず死ぬ。いずれにせよ百年に満たない人生だろう。
でも、免疫力が落ちて、体がグズグズに崩れていくのはさすがに嫌だな。

女医は、なにやら書類に書き込んでいる。
窓から初夏の風が吹き込んできて、少し涼しくなった。

ここで覚醒。

少し中途半端な夢でしたが、それもそのはずです。
両手に発疹が出たのは事実で、この夢の後、実際に病院に行きました。
担当はまだ30歳になるかならないかの女医だったので、少なからずドキッとしました。
夢と大筋で同じですので。

「漆負けですね。今度からゴム手袋をしてくださいね。1週間で治ります」
良かったなあ。夢と違い、複雑な名前の病気ではありませんでした。