日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第150夜 屋敷に棲む女

古い屋敷がある。
庭が広くて、30-40㍍四方もありそう。周囲を生垣が囲っていて、屋敷の中は見えないようになっている。

オレ(35歳くらい)が屋敷の外の道を歩いていると、生垣が少し破れた所がある。
通りすがりに、ふと覗くと、中庭の中央に女が立っているのが見える。
背中の開いたワンピース。肌が真っ白だ。
年の頃は27歳くらいか。

背中のラインがあまりに綺麗なので、立ち止まって眺めてしまう。
そのうち、女は屋敷の中に入ってしまった。

別の日、やはり同じ箇所を通り掛かると、やはり女がいる。
その日は紫のワンピースを着ている。
体全身を服が覆っているが、美人ぶりは隠せない。やはり背中から腰の線がきれい。
A.K.という女優を、もう一段細くしたような感じだ。

数分間眺めて、ゆっくり歩き出すと、20㍍先にある屋敷の門が急に開く。
出てきたのは、先程の女だ。
とりあえず、さりげなく傍に行き、どんな女だか見てやろう。
近くに行かなきゃ、声だって掛けられないわけだし。

小走りで近付くと、前の女が急に立ち止まった。
そこで歩調を緩め、ゆっくりと近付いた。

女が何をしているかと思ったら、自分の両手を広げ、それをまじまじと見ているのだった。
女は急に振り返ると、小走りでまた門の方に戻っていく。
驚いたことに、若い女だと思っていたその女は、どうみても70台の老婆だった。
服は紛れもなく、さっきの紫のワンピースだ。
不審な思いを抱いて、その場を立ち去る。

また数日後、その屋敷の前を通った。
門が開いている。
開かれた扉の前に立つと、やはり中庭に女が立っている。
女はオレの方を見ていて、にこっと笑う。
やはり若くて、スタイル抜群だ。
笑顔に引き寄せられるように、門の敷居の前まで近付く。

敷居を跨いで中に入ろうとして、少し逡巡する。
あれって、本当はバーサンだよな。
昔の物語にあったよな。家の中では若夫婦だが、外から見ると爺婆。
自分たちの意識では、まったく年を取らないけれど、外見的には老いぼれた年寄りだ。外から見た姿と内面は違うという筋だったが、実際はどんなもんだろう。
中に入ると楽しいが、浦島太郎みたいなことになったら溜まらんよな。出てくるときにはジーサンに化けてたりして。

女はほんの15㍍先に立ち、オレのことを待っている。
入るべきか入らぬべきか。
オレは長い間、じっと佇む。

ここで覚醒。