日刊早坂ノボル新聞

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夢の話 第631夜 ほんとうの恐怖

夢の話 第631夜 ほんとうの恐怖
 30日の午前4時に観た夢です。

 高速道路を車で移動している。
 後ろの座席には、女と2歳くらいの男の子が乗っていた。
 見慣れぬ母子だ。
 「でもたぶん、オレの女房と息子なんだろうな」
 長い間運転して来たから、少し疲れたし、腹も減っている。
 そこで、後ろの2人に声を掛けた。
 「少し休憩したいし、腹も減った。高速を降りてどこかで飯でも食べようか」
 「いいわね。私も体を伸ばしたい」
 次のインターで降り、見知らぬ町の中に入った。
 駅前通りにさしかかると、「▲▲パーク」という看板が見える。
 「ここにしようよ。ご飯を食べて、公園で散歩も出来る」
 女の言葉に従い、駐車場に車を入れた。

 駅前の通りを曲がると、すぐ坂道がある。
 商店が並んでいたから、その道に入り、ゆっくり歩く。この道の先に▲▲パークがあるらしい。
 表示板を見ると、公園というより遊園地に近い施設のようだ。
 坂道の途中で、集会所があったかが、表に提灯が下がっていた。
 入り口の前を通ると、建物の中は喪服の男女で一杯だった。
 「葬式をやっているのだな。静かに通ろう」
 着物を着た年配の女性がハンカチで目元を拭いている。亡くなったのはダンナさんか。

 パークの入り口に着く。
 やはりそこは小規模ながら遊園地だった。G馬のサファリパークの隣にあるような遊園地と同じくらいの規模で、遊具は6つ7つ。
 街中なのに人はまばらで、ざっと20人くらい。場内は閑散としている。
 ふと気付くと、30メートルくらい先に女の子が立っている。年はおよそ17歳くらいか。
 女の子は真剣な表情で周囲を見回している。誰かを探しているのか。
 その子が突然、走り出し、お化け屋敷の陰に消える。

 隣の女が口を開く。
 「あれ。ハイテンション・タワーだって」
 連れの女が指を差す先を見ると、エッフェル塔みたいなかたちをした塔が建っていた。
 「ゴンドラみたいなのに乗って上まで行くみたいだよ」
 子どもを抱え、塔の近くに向かった。
 女がオレの顔を見る。
 「わたし。これに乗ってみたいけれど、怖いから先にあなたが乗ってみてよ」
 乗り物は、エレベーターみたいなゴンドラに乗り、40メートルくらい上まで上がるもののよう。ゴンドラには蛇腹式のフェンスがついているが、胸から上は空いており、そこから外が見える。
 「ただ上に上がって降りてくるだけなんだろ。ならオレが先に乗ってみるから」
 
 切符を買い、係に渡す。
 ゴンドラの口から中に入るが、誰も乗って来ない。
 係員はじっと時計を見ていたが、オレと視線が合うと、「あと3分で発車します」と言った。
 「この乗り物はゴンドラなのに、『発車』って言うのか」
 何だか可笑しい。
 そのままじっとしていると、塔の前をさっきの女の子が通り掛かる。
 「ここはどこ?どうしてわたしはここにいるの?お母さあん!」
 やはり迷子だったのか。でも、少し違和感がある。

 ぎしぎしと音を立て、フェンスが閉まる。
 その途端に、胸のうちに不安感が広がる。
 「何だか。このまま出られなくなるような気がする」
 慌てて、フェンス越しに係員に呼び掛ける。
 「おい。ちょっと!!」
 しかし、塔の周りには誰もいなかった。
 すぐさま頭の中にイメージが広がる。
 自分がこの塔の天辺に着いた時に、塔が音を立てて倒れる。
 そんなイメージだ。
 「ギギイ」とあちこちの柱が軋んだ。
 オレは「ああ。オレはここで死ぬんだな」と悟る。
 女房や子どもともお別れだ。

 ところが、ここでオレは現実に行き着く。
 「さっきの女と男の子は、オレの女房と息子じゃない。オレはあいつらのことなんか知らないじゃないか。いったいどういうことだよ」
 ここでゴンドラが動き出す。
 オレは狼狽して周囲を見回す。
 後ろを向くと、壁に鏡があった。
 「さっきは無かったのに」
 だが、その鏡を見て、オレはもっと驚いた。
 鏡に映るオレの顔は、一度も見たことのない他人の顔だった。
 「これ。オレじゃないよな。オレの人生じゃない」
 それじゃあ、オレはいったい誰の肩に乗っかっているんだろ。
 ここで覚醒。

 どうやら「オレ」が悪霊だったらしいです。