日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

放射能を甘く見るな

 地震後の報道で、よく「風評被害」云々ということが言われましたが、現実にセシウムが飛散して放射能がばら撒かれていた以上、「風評」でも何でもなく、「実害への恐れ」と言うべきでしょう。
 現在、もし新たな放射能汚染が進行していないとするのなら(可能性として)、まったく存在しない放射能汚染を前提に「危ない」などといった情報を流すのを風評と言うのです。
 やや、回りくどい書き方をしたのは、あの震災直後の一時期、東電が「可能性」の話に終始して、汚染実態を隠していたことへの皮肉です。米政府は、発電所の外部で炉内物質が検出されたので、在日米国人に対し退去命令を出しました。政府や東電の姿勢は、米国の対応と較べると、徹底して「臭いものに蓋」路線を貫いてます。
 
 ところで、昨日、関東地方の農家の方とお会いしました。
 今、数ヶ月前の話を書き、それが不買行動に繋がると、それはまさに風評被害ですので、その農家の方が具体的にどの地域の方かは書きません。ただし、もちろん太平洋岸の方です。
 
 4月から5月にかけ、その地域の農業に起こっていた事態は、まさに「深刻」なものだったそうです。
 セシウム飛散が関東西部に及んでいる事が報道された頃は、時期的にキュウリやスイカの開花・受粉の時期だったそうです。
 ところが、花がまったく開かない。
 たまに開いても、花弁が歪だったり、明らかに異常が認められた。
 酷いケースでは、花が咲いているのに、「花弁の中に葉が出た」とのこと。
 「何十年も作物を栽培してきたが、天候不順では起こり得ない異常が認められていた」という話でした。
 例え話でわかりやすく言うなら、野原で四葉のクローバーを探すと、「たまに見つかることもある」という水準ですが、それが八つ葉とか十葉のクローバーが「あちらこちらで見つかる」という状態に近かった。
 要するに、「たまたま」では起こり得ないことが起きている。
 
 実際、5月以降の野菜の出荷量にそれが現れており、一時期はスイカが末端で1個5千円に達しました。
 小玉スイカはその後も実らず、今も2千円前後の値段になってます。ちなみに、普通の大玉スイカの平均価格もほとんど同じです。
 スーパーに行くだけで、どんな状態だったか、その一端を窺い知ることができます。
 
 その農家の方は「放射能を甘く見たらいかんですよ」と言います。
 研究者の中には、「短期的な健康被害はない」という人がいますが、そのことを実際に臨床実験で確かめた例は皆無です。どれもこれも、あくまで推測であり想像です。「何でもOK」なら、規制の必要はまったくありません。
 しかし、植物の遺伝子に甚大な影響を与えているのは確実で、それが犬猫や人間に、いつ、どれくらい及ぶものなのか。
 それがわかるのも、遠い次世代の話ではなく、すぐ間近の近い将来ではないかと感じます。
 
 花の異常の話を聞き、「それは、たぶん、農家の方々は一般に知らせたくない・知られたくない情報ではないでしょうか。ブログに書いても良いですか?」とお尋ねしたのです。
 その農家の方は、「起きていた事は事実です。自分の利益を守るために、事実を隠そうとするのであれば、政府や東電の姿勢となんら変わりない」との答えでした。
 
 もちろん、当事者ではない私が、自分勝手に面白おかしく書くのは、倫理にもとります。
 やはり具体的な場所等は秘匿する事になりますが、東北・関東の飛散地域の農業は同じような状況にあったのではないかと思います。
 皆さんのお知り合いの中にも、農家の方々が居られると思いますが、その方々に訊いてみると、今起こっている危機を垣間見ることが出来ます。
 あるいは、疑問を感じる方は、直接農地を訪れてみて、そこで働いている農家の方に確認してみると良いと思います。
 これが風評かどうかは、その後の話です。少なくとも、私は当事者である農家の方に直接聞きました。