日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第191夜 怖谷奇談

今朝方見た夢です。

男が1人、小さな庵に駆け込んで来る。
この庵の主に向かい、「先生。今度は本物らしい。すぐに行きましょう」と言う。
その男の友人が、北奥にある怖谷(おそれだに)に行き、行方不明になったというのだ。
庵の主は、円了先生という名で、33歳。2年前にこっくりさんの正体を暴いてから評判となり、日本全国から妖怪や怪異現象の解明を頼まれるようになっている。
庵に駆け込んできたのは「林太郎君」で、本来、医者なのだが、真面目に仕事をせず、雑文を書いて暮らしている。29歳くらい。
林太郎青年が持ち込んだ話は、黄金伝説。怖谷にはざっと三百万両の黄金があるが、鬼が番をしているので持ち出せない。友人はその谷に黄金を探しに行き、行方不明になった。

2人で列車に乗り、陸奥に旅立つ。
東北本線は岩手まで繋がったばかりで、移動は3日掛かりだ。
列車を降りると、そこから2日は馬車で移動する。
さらに、その先にあるはずの怖谷は、正確な位置がわからない。

友人が消息を絶った最後の村で馬車を下り、今度は馬2頭で谷を探しに出る。
霧に巻かれ、迷子になるが、霧が晴れると小さな集落があった。
今は盆で、村人が盆踊りをしていた。
若者の姿はなく、娘が2人だけ、他は老人である。
綺麗な娘に心惹かれるが、翌朝早々に出発した。
村人によれば、怖谷は、案外すぐ近くにあるのだと言う。

谷の目前で、老婆に会う。
老婆は自分はこの谷の門番だと言う。
「この谷には入るな。ここはこの世とあの世が重なるところだ」
しかし、林太郎青年の友人が中に入った痕跡がある。
2人は老婆の制止を振り切って谷の中に入る。

谷はごく小さなもので、小川が流れている。
2人は拍子抜けしたが、その谷で夜を明かすことにした。
深夜、小川の上の空中にぐるぐると渦が巻き始め、穴が開く。
その穴の向こうに、友人の姿が見える。
老婆が現れ、「そこから先は地獄だ。中に入るな」と叫ぶが、2人は中に入る。

穴の向こうには、この世に重なって存在する別の世界がある。
2人は色々な恐ろしい目に遭う。
友人を見つけ、3人で逃れようとするが、鬼に捕まりそうになる。
円了は谷の入り口で見た石碑に書いてあった呪文を唱える。

すると、唐突にひとりの男が現れ、3人を穴の外に出す。
しかし、男が現れた目的は3人ではなく、老婆のほうにあった。
老婆は生前に卜占を生業として、世人の心を惑わした罪で、谷の門番にさせられていた。
男はその老婆を解放するために、この世とあの世が繋がる時を待っていた。
そこで・・・。

ここで覚醒。
夢の中では、私は傍観者というか、幽霊のように2人に付き添っていました。
この話は、話として成立しますので、すぐに書くつもりです。

「円了先生」は井上円了で、「林太郎青年」はよく考えてみたら森林太郎(鴎外)の設定ですね。
なるほど、「明治時代に、シャーロック・ホームズとワトソンみたいな2人組が事件を解決する話が出来んかな」と思ったことがあります。この記憶が残っていたのでしょう。
森林太郎は、27歳くらいまで軍医だったような記憶があります。

怖谷は、拙作「無情の雨」で描いたあの谷のことです。
元々は恐山が出発点でした。
老婆は巫女の柊女で、男は赤虎です。夢の中では名前を呼びませんでしたが、自分で創り出したキャラなので、すぐにわかりました。

赤虎は、いまだ私の心の中で息づいているものと見えます。
作品にしようと思うので、結末の部分は省略しました。
しかし、もちろん、結末まではっきりと夢で見ました。