日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

家電との対話  その1

以前、首都圏近郊のT市に住んでいたことがあります。
3LDKのコーポの中2階で、新築の時に入居しました。「中2階」というのは、坂の途中にあり、1階の半分
くらいの高さまでが駐車場になっていたからです。

この部屋に引っ越してから間もなく、異常な現象が起こり始めました。
エアコンやテレビが勝手に点いたり消えたりする。
部屋の灯りが勝手に点いている。
などといった、主に電気に関する異常です。

しかし、わが家族は、そんなことに気を払っている余裕がありませんでした。
私は会社を設立したばかりで、昼夜働いています。
家人は小さな子供を抱え、子育てに追われています。
忙しいのと疲れているので、夫婦の間でも諍いが絶えません。
テレビやエアコンに構っていられるか、という状況です。
だいたい、リモコン機器の誤作動は、近所の部屋の人が同じ型のものを持っていて、それを使った時に、その電波で別の機械が反応するという話です。
ちなみに、これはウソです。同じ部屋の中でも、5、6知イ譴襪函△發呂筌螢皀灰鵑狼’修靴覆い海箸多いです。
それでも、その頃はそんなもんだと思っていました。

ところが、電機類の誤作動だけではなく、異常な現象が起こり始めます。
深夜に、勝手にドアが開いて、バタンと音を立てて閉まる。マンションやアパート、コーポでは別の部屋の開閉の音が大きく響くものですが、目の前でドアが閉まるのをこの眼で見ました。

3LDKのうち、1つの部屋はどういうわけか湿気が多く、床に水溜りが出来るほどです。家主に言い付けて調べてもらったのですが、配管などの影響ではない模様です。原因が分からず、対処のしようがありません。そこで、結局その部屋を使わないようになったのですが、風通しを良くするためにドアを開けてありました。台所の向かい側にその部屋があったのですが、奥の部屋に出入りする時に、その部屋の中が少し見えます。
私と家人は、その部屋の中に赤い服を着た5歳くらいの女の子がいるのを何度か見ました。
しかし、当家には女児が2人おり、女の子の姿を見てもさほど気になりません。
元々、夫婦ともその方面には敏感な方で、それぞれ頻繁に目にする方です。
「さっきそこに来てたなあ」と普通に話していました。

こういう態度が物足りなかったのでしょうか。
異常な出来事がエスカレートします。
テレビがバチバチバチバチと点滅した後に、エアコンがバチバチバチ。隣の部屋の蛍光灯がチッと点灯します。
ある時はたまたま夫婦ゲンカの真っ最中で、家人と口論していました。
こういう時は、周囲のバチバチがうるさく感じます。
テレビがバチバチと鳴るので、思わず怒鳴りました。
「あーうるさい。オマエが本物のオバケなら、きちんと返事をしてみろ!」
そうすると、目の前のテレビは、ひと呼吸置いて、「わかった」と言うように「バチバチッ」と大きな音を立てて点滅しました。

その時に「こりゃ、リモコンのせいではない」と思い知ったのですが、いざ自覚したら、我が家は本当にお化け屋敷になってしまいました。
家族以外の誰かが、あちこちを歩き回る。家族がひとつの部屋に揃っているのに、別の部屋で足音がする。食器棚のお皿がスーッと動くなど、外国でポルターガイストと呼ばれる現象とそっくりです。
さすがに、がたがた食器が動くのを見てしまうと、あまり良い気持ちはしません。

家族も病気がちで、家人と子どもたちは喘息で病院通いです。
子どもたちを頻繁に救急病院に連れて行くために、疲労が溜まって来ます。
「いよいよ限界だ」というので、T市から出ることになりました。
引っ越しをして、心機一転を図ろうというのです。

いざ引っ越ししたら、ものごと総てが好転しました。
1年くらいの間に、家族の喘息の症状が軽くなりました。
夫婦ゲンカも減り、蓄積していた疲労が取れてきました。(続く)